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穴を掘り始めて数分。
上から声が掛かった。
涼「だ、大ちゃん…!」
助けが来た!太陽の直線上にいるから後光が差しているように見える!眩しい!
大「どこにいるかと思ったら…、何でそんなとこにいるんだよ」
涼「大ちゃんこそどうやって分かったの?」
大「匂い辿った」
凄ぇな狼。
大ちゃんに引っ張り上げてもらい、ようやく安全なところに足をつけることが出来た。
たった2メートル落ちただけなのにあんな心細くなるとは思わなかった。
大「お前手に何持ってんの?まさかそれ取ろうとして、」
涼「えへっ」
大「えへっ、じゃないのよ。馬鹿か!」
涼「いだっ」
ごんっって、ゴンって言った!殴られた!暴力反対だ!
大「元々今日は俺、用事があって伊野ちゃんち行けないから1人で道草くわずに行けって言ったろ?
たまたま用事が早く済んだから良かったものの…俺居なかったらずっと1人だったんだよ?」
涼「ごめん、何か急に冒険家の血が騒いでさ」
大「無いだろんなもん」
無いけどもそんな気がしたんだ。
ほんと、急に今日はこっちの道に行かなきゃって。
涼「この花、どうしよう。取ったら満足しちゃったんだよね」
大「伊野ちゃんにでもあげたら?見たことない品種だし、伊野ちゃん喜ぶんじゃね?」
涼「そっか、そうするよ」
大「ほら、伊野ちゃんちまで案内するから。行くぞ」
涼「はーい」
時間を聞けばやっぱり、俺が落ちてからそんなに時間は経っていなかった。
安心したらお腹すいてきちゃった。
伊野尾ちゃんちに行ったらお菓子を少し貰おう。
涼「…ふふっ」
大「急に笑って怖ぇよ」
涼「いや、何か大ちゃん英雄≪ヒーロー≫みたいだなって思って」
考えてみれば今まで何度も大ちゃんに助けられてきたし。
ピンチって時こそ大ちゃんがやってくるから。
さっきだって無意識に大ちゃんの名前呼んでいたなあって気づいた。
大「…なんかそう呼ばれんの歯痒いな。俺、ヴィランだし」
照れているのか一切こっちを見ない大ちゃん。
大きな耳がぴくぴくと動いている。
涼「ヴィランも誰かにとっては英雄なんだよ」
俺にとっては大ちゃんが英雄だ。
第【ヒーローと呼べる者に立場は関係ない】完
(改訂版)ヘンゼルとグレーテル→←ヒーローと呼べる者に立場は関係ない
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作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時