ヒーローと呼べる者に立場は関係ない ページ29
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木々の隙間から差し込む太陽の光。
そして目の前には土の壁。
足の踏み場は１�屬�らい。
下は急斜面。
因果応報、お天道様に石、天を仰いで唾する。
こういうときに限って難しい言葉が浮かんでくる。
ようは自業自得だ。
今日は冒険家気分。
いつもとは違う道に進んだり、行ったことのない道を通ったりしていると綺麗な花を見つけた。
そこまではいい。いいんだ。
あまりに綺麗な花だったから摘んでいこうと茎をへし折った瞬間、花のあった地面一体が崩れた。
そして花ごと落下。
幸い、2メートルほど下に、岩が突き出たところがあって。多少打撲はしたものの無傷だった。
さあここからが問題だ。
この土壁を登らなきゃいけないという試練が俺には待っている。
下るにしてもほぼ90度のところを下るのは不可能だ。
登るしか選択肢がない。
涼「うぇ…さいあくだ」
花を摘もうとしたから…。もしかしてこのお花いわくつきだったのかな？
伊野尾ちゃんちに行く予定だったのに。
道草なんて食ったからこんな目になった。
大ちゃんには道草くわずに真っすぐ伊野尾ちゃんちに行けと言われていた。
原作【赤ずきんちゃん】と同じじゃないか。
冒険家気分とかそんなの我慢すればよかった。
俺はもう大人だろ。自制心発揮させろよ、ばか。
木が生い茂る森の深いところ。
通ってきた道はあまり人が通らないから獣道のように細く目立たない。
こんなところに誰が来るのか。誰も来ないだろう。
1人で登るしかないのか…。
心細すぎて泣いちゃいそうだよ。
体感時間数時間。
実際は30分くらいだろうか。だって影が全く動いていないから。
森の中は暗くなるのが早い。
夕方までにはここを登らないと野宿確定だ。
食料になりうるのはこの手にもった花１つ。
あとは土。土は食えん。無理だ。
涼「うぇぇ…大ちゃーん、」
そもそも登るのも無理だろう。
花があった地面一体が崩れるくらいのもろい地盤だ。
土壁だってちょっと触ればポロポロと土が削れていく。
もう俺はここで永住します。穴ほって洞窟つくります。
裕翔が言っていた雪山で遭難したときの対処法。
体温低下を防ぐために穴を掘れを実施します。
ここ雪山じゃないけど。
「あ、いた」
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作者名：アイノア・リカ
| 作成日時：2022年1月16日 12時
