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伊「まあいいや。中入ろ?」
涼「うん」
伊「あ、待って。涼ちゃんフードん中にめっちゃ花びら入ってるよ?」
言われてからそうういや肩が重いなって気づいた。
パーカーのフードを裏返すと、大量の花びらが地面に広がった。
今日の天気はフラワーレイン。
歩いているうちにフードの中に溜まっていたみたいだ。
伊「涼ちゃんは妖精に好かれてるんだね」
花びらが降ってくる天気は妖精が起こしているって言われているけど、その妖精を見たことがある人は現代にはいない。
だから花びらが降る天気に後付けで妖精が降らしているっていう理由が付けられたんだと思っていた。
妖精に好かれてる?俺が?
伊「妖精は自分が気に入った人に花びらを付けるんだよ」
涼「じゃあ頭に着いたりするのって妖精が付けたってこと?」
伊「そう。さすがにフードいっぱいに溜まるのは初めてみたけどさ。
俺も妖精の姿は暫く見てないけど、もしかしたら今も近くにいるのかもね」
妖精かぁ…、いるなら見て見たいけど。気に入られるようなことした覚えが無いんだけどな。
涼「あ、伊野尾ちゃんにも着いてるよ花びら」
前にいた伊野尾ちゃんの背中に一枚、薄ピンクの花びらが付いていた。
涼「伊野尾ちゃんも妖精に好かれてるんだね!」
顔を覗き込みながら言うと、
伊野尾ちゃんの表情は予想と反して冷たいものだった。
伊「妖精はわがままだから、気を付けてね」
花びらは中央に置かれた大きな鍋の中に入れられた。
綺麗なピンクの花びらだったのに、
鍋の表面に浮かんだ花びらはたちまち黒く変色して溶けていった。
第七話【好きと執着は紙一重】完
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作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時