it's A Whole World〜おとぎの国〜 (ページ24)

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好きと執着は紙一重ページ24

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今日の天気はフラワーレイン。

意味はそのまま。花の雨だ。

空は青いのに、花びらが風に舞って吹き荒れる。

仕組みは分からないが妖精が花びらの雨を降らせているんだとか。

そんな日は傘なんて必要ない。
たまに頭についた花びらを払いながら歩く。

子供たちは花びらを集めて色水を作っている。

平和な日。今日もおとぎの国は平和だ。

キャァアアア！

と、思っていたら悲鳴が聞こえてきた。

「騎士団の皆様がご帰還なさった！」

騎士団という言葉に凱歌のごとく黄色い歓声を上げる国民の皆様。

騎士団とは国お抱えの団体だ。
貴族からの支援を受けて、国全体の秩序を守っている。

国境を超える貴族の警備をしたり、国内での災害時にいち早く駆け付けたり。

今回は北の山での雪崩で一部の村が孤立状態になったから物資の搬入と、村の復旧作業を行っていたようだ。

ちなみに、警察とは民間の団体で。
主に国内で起きる民間人同士の争いや事件なんかを担当している。

大規模なのが騎士、小規模なのが警察っていう覚え方だ。

中々就ける職業じゃないことから、騎士団も警察も相当な人気を誇っているけど。
やはり一番は騎士団だ。

ファンクラブがあるとかないとか。

「裕翔様ー！！！！」

"裕翔様"、

彼は騎士団１の人気者だ。

高身長でイケメンで、文武両道。完璧人間。

女性は彼の甘い笑顔にイチコロだし、男性は彼の腕っぷしに憧れる。

１つ欠点を上げるとするならば、彼はヴィランの末裔であることだけだ。

人々がヴィランに持つ偏見をも払拭するくらいの功績をあげてきた彼は、少なからずヴィラン側からも一目置かれている。

俺は彼自身に興味ないから、"見つかる前に"早く大通りを抜けよう。

「あ！！！！！涼ちゃーん！！！！！！！」

げっ……。

逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。

めんどくさいぞ。人気者とは関わるな、コレ絶対。

何でこんな日に目立つ赤い服を着てきた俺、馬鹿だろ俺！

「久々の涼ちゃんだー！うわー会いたかった！！」

乗っていた馬を降りて、ファンが押し寄せる中器用に俺の前まで来たこいつ、裕翔。

周りからの視線が痛い痛い。
誰だこいつって視線がいくつも刺さってくる。

釣り合いすら取れていない身長差。
見上げると首が痛くなる。