it's A Whole World〜おとぎの国〜 (ページ22)

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雄「ほらよ」

居酒屋にそぐわない洒落たグラスに入れられたりんごジュース。

その隣に置かれた皿には野菜がたんまりと挟まれたパンが。

涼「うげぇ、野菜きらーい」

雄「食える時に食っとけよ。背縮むぞ」

それは無いだろ。

涼「…本当にお金ないよ？」

雄「だから気にすんなって。出世払いでいいから」

俺が出世するわけないじゃん。
むしろ非道に走ろうとしてるのに。

雄也はいつもそうやって何かしら理由をつけてくる。
優しい人なんだ。

パンはほんのりあたたかくて、野菜と一緒に卵やソースといった味付けもされていて食べやすくなっている。

居酒屋じゃなくて大通りにパン屋さん開いたら儲かりそうなのにな。

涼「明日からまた暫く来れなくなっちゃうかも」

雄「じゃあ今日たんまり食ってけ」

涼「伊野尾ちゃんたちとも遊べないんだよなぁ。花火見てる途中だったけど、こっそり抜け出してきちゃった」

雄「俺が適当に理由付けてやるよ」

涼「いつもありがと」

って言っても雄也ってば昼間は基本寝てるから伊野尾ちゃんたちと会えないじゃん。

ああ、伊野尾ちゃんはたまにここに飲みに来ていたっけ。
なら大丈夫か。

半分まで飲んだりんごジュース。

氷が溶けて少し味が薄くなったような気がする。

これを飲んだら、終わり。帰ろう。

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第五話【エンドロールはまた今度】完