it's A Whole World〜おとぎの国〜 (ページ3)

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それに、ヴィランはかっこいいんだ！

自由に生きてるってゆーか、好きなことをしてるってゆーか。

お友達の中にヴィラン家系で居酒屋経営している人がいるんだけど、酒癖悪いしお客さんと喧嘩もするし物騒なこと言ったりもすんだけど。
それでも何か毎日楽しそうで飽きなさそうですごく羨ましいの！

だから俺もそういう風になりたいなあって。

何かに臆することなく自分に自信を持てる人になりたいなあって。

そうなるためには、怖いもの知らずなヴィラン家系の人に弟子入りするのが1番ってことで。
伊野尾ちゃんの弟子になったんだ、俺。

今は伊野尾ちゃん指導の元、ヴィラン入門編その⑤を遂行中だ。

悪役の中には金物に目がない泥棒を生業としている人がいる。

アラジンのジャファーや、ピーターパンのフック船長とか。あれ？アラジンの主人公も泥棒だっけ？んー、まあ細かいことは置いておいて。

とにかく物を盗む時にビビらない事が1番大切。
伊野尾ちゃんからそう教わった。

伊「はーい、準備おっけー？」

涼「うん出来る！頑張るよ！
あの人の鞄を盗めばいいんでしょ？」

伊「そうそう。あれは上等な鞄だ。革もおそらく本物。
鞄のバッジには小さいけどダイヤが付いている」

涼「え！？そうなの！？」

伊「ヴィランになるためには観察眼、洞察力を養わなきゃいけませーん」

へぇぇええ！そうなんだ！

言われてみれば、書籍化されているおとぎ話に出てくる悪役はみんな頭が良いような気がする。

例えば誰にもバレずにお城に潜入したり、一発でお宝の在り方を探し当てたり。
常に考えて動いている印象がある。

英雄達といえばさすが主人公さながらの動きをしていて、
凄く大胆だし『願えば叶う』なんて思い込みで事を運んでるもんな。

英雄達の事色々言っちゃってるけど俺は決してアンチではない。
ただ、俺がヴィランになりたいだけ。

ターゲットはこれから俺が鞄を盗むと考えてもいないんだろうな。

ちょっっっっっとだけ、ちょっとだけね、心が痛むけどこれもヴィランになるための試練…！

奪った鞄は売って、そのお金を孤児院に寄付するから許して下さい。知り合いに孤児院経営してる人いるんです。