it's A Whole World〜おとぎの国〜 (ページ19)

今日:17 hit、昨日:21 hit、合計:34,347 hit

◯ ページ19

それを知らない伊野尾ちゃんは目を丸くさせて光くんを凝視していた。

伊「えーすごい！魔法くらい早かった！どうやったの？
え、てか詰めが甘い！じつはここにもあるんですー！」

伊野尾ちゃんは杖を一振りした。そうするとどこからともなく盗んだ物が空中から現れて地面に落ちた。

いや、それは誰にも分かるはずない。

光「じゃあこれ全部返してもらうよ？」

伊「いいよ。面白いもん見れたし～」

盗られたものが返ってきて、膨らんだ鞄をぎゅっと抱きしめる子供は嬉しそうに光くんの周りを飛び回る。

うんうん、持ち主のもとへ返れて良かったねぇ。

伊野尾ちゃんと光くんも何だか相性良さげだし。
これにて一件落着か。

それじゃ俺はお買い物の続きでもしようかな。

光「おい涼介」

涼「ひぃっ」

この場から逃げようと摺り足で後ろに下がっていたのがバレていたらしい。

目線だけをこちらに向けた光くん。
怒ってるような気がする。え、何に？俺なんかしたか！？

掴まれた肩に指が食い込む。
効果音を付けるならば「ギギギギッ」だ。

光「…はあ」

涼「え、あの、俺なんかしたかな？」

大きなため息を吐かれるようなことをした覚えが無いんだけども。

光「お前さ、ヴィランになる！とか言ってなんか変なことやってんのも、まあいいんだけどさ(どうせ小さい事だし)」

涼「おい、小声で失礼なこと言っただろ」

光「あんまそっちばっかに夢中になってないで、そろそろ院に顔出してくれよ。
子供たちも涼介のこと待ってるんだから」

涼「あ…うん」

そういや最近孤児院に顔出してなかったなあ。

この間集めた木苺でジャム作ったけど、持っていくの忘れたもんなぁ。

涼「え、それ言う為だったら馬鹿力で肩掴まないでよ」

光「そ・れ・と！昼間から盗みに加担するのはやめなさい！
盗む時は人通りの多い所か夜って言っただろーが！」

涼「ちょっ、痛い痛い！ごめんなさい！…はあ！？あんた英雄サイドの人が何言っちゃってんの！？」

泥棒のプロがここにいますー！おまわりさーん！