it's A Whole World〜おとぎの国〜 (ページ18)

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◯ ページ18

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「あー！おれの！おれのなのに…っ、宝物消えちゃったぁ…」

「おいそれはねーんじゃねえの？
　 …なあ、涼介ぇ？」

涼「………あはは、」

詰んだ。

伊「涼ちゃんの知り合い？じゃあ俺空気読んで先に行ってるわ～」

違ぁぁぁあああああう！！
空気読んでるようで全く読んでなぁああい！
むしろこの空気思い切り吸ってくれ！
ドス黒いオーラ出てる気がするでしょ！？でしょ！？

伊「ねえ誰なのこの人」

涼「この人は、光くん。【ラプンツェル】の末裔だよ」

【ラプンツェル】とはざっくり説明すると、魔女に囚われていた女の子と偶然それを見つけた男の子の感動恋愛ストーリーだ。

純愛ジャンルとして書籍化されていて、
今も人気上位にランクインしている。

涼「そういや【ラプンツェル】には魔女が登場しているけど、それも伊野尾ちゃんの家系なの？」

伊「あぁ…何かウチで大切に育てていた花を盗んだにわか魔女がいたな…」

涼「あ、違うんだ」

伊「俺あいつきらーい」

同族嫌悪ってやつか。

光くんは、孤児院を経営している。
孤児院には英雄サイドの子も、ヴィランサイドの子も関係無く沢山の子供たちが生活している。

俺もよく遊びに行ったりして。
光くんの作る美味しいごはんをご馳走になっている。

空になった鞄を持ってがっくり項垂れる子とは初めましてだけど、きっとこの子も孤児院の子なんだろう。

光「なんだ、お前ヴィランか？
ならしょうがないな！ってなんねぇから。獲ったもの返してくんね？」

伊「んもう～、俺は鞄を拾っただけ。そんで、中に入ってたものを貰っただけなんだけど。
それの何がいけないわけ？」

涼「伊野尾ちゃん、返した方がいいよ…。この人、怖いから。ね？」

見て分るでしょう。この目力。眼力で人潰せそうだよ。

光「ほらそのサイドのポケットに入れてんだろ？ローブの内側にもあるよな？ブーツに挟んでる金も返してもらおうか」

光くんはどこに何があるのか言いながら、素早く伊野尾ちゃんの隠し場所から盗んだ物を取り出した。

盗んでいるところを見ていなかったのに的確に当てているし、伊野尾ちゃんの目を盗んで、物を獲るなんて普通の人は中々出来ない。

光くんは英雄の末裔だけど、【ラプンツェル】のお相手は元泥棒だ。

その血を濃く受け継いだのか、光くんの手にかかればその辺の泥棒となんて月とスッポンくらいの差が生まれる。