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気付けば投棄されたゴミを目で追っていたところで、見つけた鞄。
周りに人はいないし、その鞄だけがベンチに寂しく置かれている。
俺が指さした方に伊野尾ちゃんも視線を向けて、
迷いなく鞄の方へと歩みを進めた。
伊「おっ、中々いいもん入ってんじゃーん」
涼「えっ、ちょ、伊野尾ちゃん?!」
躊躇なく鞄の中身を物色し始め、良い物を見定めては懐に入れていく。
はい現行犯!!
伊「持ち主いないじゃん。誰のものか分からないんなら俺のものにしたっていいよね」
涼「持ち主が戻ってくる可能性もあるじゃん」
伊「それでも今俺の懐にある時点で俺のもの〜。あ、名前書いとく?」
"いのを"。よしこれでおっけい。
じゃなくて!
涼「普通は落とし物があったら警察に届けるんだよ?持ち主が見つかったら謝礼で何か貰えるし。
そんな高価そうなものが沢山入っているんなら、きっとそれなりの物貰えると思うんだけど」
伊「そちらの常識ならそれが普通なのかもね。俺らは違うからさぁ、残念!」
"そちら"っていうのは英雄側のことを言ったんだろう。
常識についての認識の差が、英雄とヴィランの間にはあるみたいだ。
「本当にこの辺か〜?」
「絶対そうだもん!おれの宝物いっぱい入ってるの!」
「宝物が入った鞄を何で忘れるかね」
なんとタイミングの悪い。
近くを通りすがった男の人と小さな子供はどうやらこの鞄を探しに来たらしい。
宝物とか言ってるし、実際鞄の中にはそれなりに高価なものが入っている。
うん、確実にこれだ。
子供泣かせしてるよ伊野尾ちゃん。
あと、あの男の人の声。俺多分知ってるんだよね。
確実にあの人だよね。
怒らせたら怖い人No.1だよ伊野尾ちゃん。
伊野尾ちゃん?
伊「さぁ、次のお店行こーぜ涼ちゃん」
…伊野尾ちゃん!!!あんたもあの会話聞いてたでしょーが!
「あー!!!アレおれのだ!!泥棒がいる!!!!」
はいバレたー!おもっきし指さしてきてるー!
なのに、伊野尾ちゃんはほぼ空になった鞄をポイっと放り投げた。
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作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時