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グレーテルの末裔である知念。
彼もまた大層利口だった。
先祖の因縁なんぞ関係ないということで。
魔女の末裔である伊野尾ちゃんの家に入り浸っている。
ていうか魔女はあの時かまどで焼かれたはずなんだけど。
何で末裔いるんだ。あれ?
知「見てーこれ、僕が作ったの。飲んでみる?」
涼「え、どんな効力があるの?」
知「お腹の中をお菓子でいっぱいにしてはち切れさせる薬」
涼「遠慮します!!」
知「お腹がはち切れるくらいお菓子が食べたいって伊野ちゃん言ってたから」
怖っ!!ただの比喩じゃん!本当にしちゃダメだよ!
知「まあ座りなよ」
涼「…知念って本当に英雄の末裔?」
知「おとぎ話のこと言ってる?
世に出回ってる話なんて英雄がより輝くように誇張されてるのが多いからね」
涼「…え、何、知念のご先祖のお話って誇張されてる系?」
ちなみに俺のは誇張されていない系だ。
狼を撃退するとかとんでもない事だけどおとぎの国だから気にしたら負けだ。
俺の疑問に対し、知念は頬杖をついて怪しげに笑った。
知「……知りたい?」
含みを込めた言い方に、思考回路が一瞬停止した。
涼「…え、っと…、」
知「現代において、グレーテルの末裔はいるけどヘンゼルの末裔はいないよね?それってさ、実はあの時ま、」
涼「わー!わー!わー!いい!いい!聞きたくない!」
何か恐ろしい事言いそうな気がした!察した!
俺ってばエスパー能力持ってるかもしれない!
知「えーつまんないの。この話知ってるの伊野ちゃんしかいないんだよ?涼介になら教えていいって思ったのに」
涼「…こわい。伊野尾ちゃんも知ってんの?え、怖い」
知「そんなビビりじゃヴィランにはなれないぞっ」
おどけて言った知念の指が俺のおでこに当たる。
涼「ビビりじゃないし」
知「まあ今はビビりでもいいんじゃない?良いこと教えてあげるよ。
歴代のヴィランってね、とてもビビりなの」
涼「え?」
知「ヴィランは生まれた時から孤独なのが多いからね。
それに意味もなく迫害されてきた歴史がある。
英雄を信じる、純粋無垢な人たちの事を怖がらない方がおかしいと思わない?
孤独と恐怖から抜け出す為に"意地を張った"って言ったら分かりやすいかな?
みんな、人との関わり方が分からない不器用さんなんだよ」
知念の言葉に何となく納得してしまった。
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作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時