物語のトゥルーエンドは誰も知らない ページ11
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涼「こんにちは！」
伊「あら〜、いらっしゃい」
涼「はいこれ。サンドイッチ持ってきた」
伊「いつもありがとね〜」
家に上がって早々、サンドイッチを籠ごと伊野尾ちゃんに渡した。
伊野尾ちゃんってばお菓子しか食べないから確実に不健康。
そんな友達の家に行くんだと親に言うとおせっかいな親はいつも手土産として、ご飯の残り物やランチを作って持たせてくれる。
まさか俺の友達がヴィランだと思ってもいない親。
ランチの送り先が魔女の末裔って知ったら卒倒するだろうなぁ。
伊「紅茶淹れてくるね」
涼「はーい」
玄関入ってすぐに広がる伊野尾ちゃんの作業部屋を通り過ぎ、その隣のリビングへ向かう。
作業スペースには中央に大きな鍋があって、ぐつぐつと音を立てている。
4面の壁びっしりに配置された棚には怪しげな液体が入った瓶が沢山。
THE・魔女の家って感じだ。
玄関入ったらまずリビングかダイニングが定番だろ、
というツッコミはもう既に済ましている。
伊野尾ちゃん曰く、これが防犯として一番最適らしい。
作った「おくすり」も、使用時に伊野尾ちゃんの魔法を加えないと効果を発揮しないみたいで。
不用意に変な人が触ったら暴発するらしい。
恐ろしいよね。
それ聞いた時には既に俺触っちゃってたもん。
びっくりして落としそうになったよ。
そんな恐ろしいものだけど、まあ見た目は紫や赤や青などに染色された水が瓶に入っていて、綺麗だからインテリアとして楽しんでいる。
そういうインテリアなんだ〜って思えば怖くない。
涼「あ、知念もいたんだ」
知「いない日無くない？」
リビングへ行くと既に先客がいて。
彼は知念侑李。
『ヘンゼルとグレーテル』に出てくるグレーテルの末裔だ。
『ヘンゼルとグレーテル』は親に捨てられたヘンゼルとグレーテルという兄妹が、魔女の住むお菓子の家で魔女を倒すという話だ。
え？ざっくりしすぎ？
だって伝わっているのはそのくらいなんだもん。
魔女のお菓子の家は罠で、甘い匂いに誘われた二人はそのままお菓子の家に囚われてしまって。
魔女は、ヘンゼルを太らせて食べるためにグレーテルに料理を作らせていた。
魔女の陰謀を知った2人が、機を狙って魔女をかまどに突き飛ばしてめでたしって感じ。
この物語のキーマンはヘンゼルだ。
彼は凄く賢かったらしい。
檻の中でヘンゼルは地面に穴を掘って、貰った料理を捨てていたらしい。
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作者名：アイノア・リカ
| 作成日時：2022年1月16日 12時
