mi mi mi 3

むかつくのに、#11 ページ37

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「あれ、まだ居たんすか？」


「ちょっと雑用残ってて」








首にかけたタオルで汗を拭いてるのは、
自主練を終えた石川くん。








「ふーん。」


「無視していいから、」








倉庫にボールを片付けにきた彼を横目に、
野暮用を終わらせる。









「…ねー、マネージャー」


「はい、なんでしょう」








あぁ、気まずい。
なんて気まずいんだろう。









「明日早いからモーニングコールしてよ」


「…それは目覚まし時計に頼んでください、」









なんでかって、
私は何故か先月この石川くんに告白されて
好きな人がいるからと丁寧にお断りしたわけで。









「柳田さんからのお願いだったらするくせに」








そしてきっと、
私が誰が好きかってのもバレてるわけで。









「しないよ、何言ってんのっ」


「マネージャー顔赤い」









歳下のくせに、
告白してきたのはそっちなのに、
その飄々としてるとこが苦手なんだ。









「…ほんとむかつく、」








私が睨めば、
いつもの表情で。








「俺もっす」


「そーやってすぐ対抗してくるんだから」






「…でもかわいい、」









主導権を譲るってことを知らない彼は去り際に、
独り言みたいにそう呟いて出て言った。









「……勘弁してよ、ほんと」







その言葉は何かのトドメのようで、
私は耳まで熱くなる。









(そういうところがやりづらくってむかつくのに)
(目で追う先が段々と変わっていってるのはきっと気のせいなんかじゃなくて、)


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