mi mi mi 3

痛みだけ噛み締めて#8 ページ30

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「げ、なんでいるの」


「…なんでって言われても」





半年前までは、
いわゆる彼氏と彼女だったわけで。






「てか、げってなんだ」

「…心の声？」

「いや出てるから」







お互い、防寒重視でほぼ部屋着。
こんなかっこで深夜のコンビニで出会うなんて、
なんとも色気がない感じ。








「帰国してたんだ」

「おー、すぐ戻るけどな」





変な空気の中で、
何故かちょっと話す？ってなって
すぐそこにある公園まで。







「さっぶ」

「寒いね」






別れは、私からだった。
引きずってないと言えば嘘になるけど、
遠距離なんて私には無理で
支えるには存在が大きすぎて。








「髪染めた？」

「ちょっと暗くした」






それなのにそうやって
いいね、って
前みたいに優しく笑うから
私の胸からズキって
音がした気がして。







「まさのにおいがする、懐かしい」

「…自分じゃわかんない」






隣に座ってたらふんわり香る、
優しいにおい。
懐かしいって言ったら、
おもむろに自分をクンクンし出すから
おかしくて、愛おしい。








あー、だめだ。
これ以上喋ったらまた
抱きしめてほしくなりそうだ。







「そろそろ、いく？」


「うん、帰ろっか」


「…はい、まさも立って」


「ん、」





帰るよ、って
まさを促したら。








「…おまえさぁ、」


「…？」






まさを見上げても、
暗くて顔がよく見えなくて。






「…いい加減、俺のなかから出てけ」







優しく頭に乗せられた、
大きな手。






「…どういう意味、」


「うそだよ、ごめん」









じゃーな、って
私に背中を向けたまさは
もう前みたいに送ってくれなくて
それが寂しいなんて
きっと私は思ってもいけないことなんだ。







冷たい風が心に沁みて、
私の選択は正しかったのかどうか
わからないけど。









(どういう意味、なんてわかってるくせに)
(捨てたはずの心がまた膨らむ前に、この痛みだけせめて噛み締めて)

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