mi mi mi

男心は胸の奥に#11 ページ3

.



「あーーー、疲れた！！」


ボサボサの頭と、
汗で濡れたジャージと、
すっぴんの素顔。



「……そんなら自分ち帰ればいいのに」



そんな姿のまま、
どさっと人のベッドに倒れこんでしまう君は、
はたして女と呼べるのか？



「祐希冷たい……」




わざとらしく潤んだ瞳で
俺を見上げてくるA。



「いや、冷たくないでしょ」



正直なところ、カワイイ。




俺だって練習で疲れてるんですけど、
なんて言いながらベッドに浅く腰掛ける。




「ねー喉乾いたー！」



無視ですか、そうですか。





俺の枕に顔をうずめて、
なんか飲みたーいなんて
駄々こねてる彼女の身体に、
なぞるような視線を落とす。




あぁ、もう、ほら




それは、
ちっちゃい頃から知ってるカラダと比べて
ずっとしなやかで女らしい曲線を描いてるから、
俺のこの健全な男心は
素直すぎるくらい刺激されてしまうわけで。




「いまオレンジジュースしかない」


「へへ、ありがとう」





ため息ついてジュースをいれてあげると、
けろっと笑ってベッドに座りなおすA。




「飲んだら、帰ってね」



溢れそうな欲望と、
ギリギリの理性。




「帰んない」


「……俺Aのこときらい」


「好きなくせに！帰りたくないもーん」




うん、好きだよ、なんて
言うべき時は今じゃない。









(帰んないならどーなっても知らないよ、なんてそんなことは言わないけど)
(いつか歯車が狂ってしまうことは、もう決定事項だってこと)

恋との狭間#8→←旅館にて#8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す