窮鼠噛狸【続】4 (ページ6)

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…

会長が風呂から上がってきて、俺の手当をする。

処方された塗り薬を丁寧に塗りこみ、上から優しく包帯を巻かれる。

会長「実は、僕には1人の弟がいたんだ。」

大「…」

俺の右手に包帯を巻きながら会長は語り出した。

会長「弟は文武両道で、かっこよくて、女子からの人気が絶えないような子だった。

兄の僕からすれば可愛かったんだけどね。」

話の意図が読めず、次の言葉を待った。

会長「本当に可愛かったんだけど、

3年前のある日、突然帰ってこなくなった。
家族も警察も動いて必死に探したけど、

次の月、体育祭が終わって帰ってみたら、家に弟の遺体があった。

外でなくなってたんだ。

誘拐されて。

犯人は直ぐに逮捕されて、事件は解決した。

でも、家族が壊れてしまった。

誰も僕に話しかけなくなった。｣

大「……なんで」

会長「さぁ、僕は僕で、弟じゃないからかな。」

会長の言葉が酷く心に刺さった。

会長「似てるんだ。大倉くんが、生きてたあの頃の弟に

こんな、勝手に人に重ねてしまってはいけないとは、思うんだけど……」

会長の目から、一滴の涙が落ちて、

次から次へと流れ出す。

会長「……お願い、今日だけでいい。」

ｰｰｰそばにいてくれ

…