私と有名人の彼 (ページ4)

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❤︎ ページ4

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『オッケーです！お疲れ様でした！』

生放送が終わり、私は機材を片付けて資料を手に取る

「お疲れ様でした！」

『Aちゃんお疲れ！ゆっくり休んでね』

「はい！」

ディレクターさんに挨拶をしてAスタジオの扉を開けると

スマホを触っている佐野さんがいた

「あれ？佐野さんまだ帰ってないんですか？」

玲「マネージャーが車取りに行ってる」

「あ〜！なるほど！お疲れ様です！」

私はそう言って佐野さんに頭を下げて足を進める

玲「おい！」

「え？」

振り返ると佐野さんはスマホをポケットに入れて

帽子を深く被り直すとスタスタと私を追い越した

玲「ほら、早く行くぞ〜」

「…え」

玲「なんだよ、早くしろ」

「あ！はい！」

もしかして私を待ってたとか？

佐野さんに限ってそんなことは無いか…

私は急いで佐野さんを追いかける

玲「さっきの…」

「さっき？」

玲「俺、彼女なんていねーし」

「えっ！意外！」

玲「意外って…悪いか！」

「寧ろラッキーです！」

玲「なんだそれ」

佐野さんはそう言いながらクスッと笑った

意外と可愛い笑顔に心臓がキューっと締め付けられる

佐野さんが私を見て笑ってくれるのが、夢みたい

「私にもまだチャンスはあるって事です！」

玲「…お前ってほんとバカだな！」

佐野さんはケラケラ笑いながらエレベーターのボタンを押して

一緒にエレベーターへと乗り込んだ

「明日も早いんですか？」

玲「いや、13時に現場入りだからそんなに」

「有名人は大変ですねぇ〜」

玲「お前もじゃん？」

「そんな私も明日は午後出勤です」

玲「なら一緒じゃん」

「まぁ、毎週のことですから！」

玲「頑張れよ」

「えっ…あ、はい」

佐野さんがいきなり"頑張れよ"なんて言うから

驚いて返す言葉が出てこなかった

オフィスがある3階でエレベーターがゆっくりと停まる

「じゃあ私は荷物置いてから帰るので！」

玲「おう」

「お疲れ様でした！」

今日は手とか…振っちゃおっかな〜

私は佐野さんに会釈をしてエレベーターから降りて振り返る

玲「じゃあA、また来週な！」

佐野さんはそう言って微笑みながら手を振った

パタンと静かにエレベーターの扉が閉まる

「え…？」

いつもは"お前"なのに初めて名前を呼んでくれたから

私の隣を歩いて笑ってくれるから

夢みたい……けど全部夢じゃない

私はニヤける口元をそっと手で押さえた

〜fin

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