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モモさんに雇ってもらって2ヶ月
常連さんとも仲良くなってお客さんと話すのは楽しいし
だいぶ仕事にも慣れてきた
「ありがとうございました!」
私はお客さんにお辞儀をしてカウンターに戻り
グラスと布巾を手に取った
「ふぅ…」
小さく息を吐いて時計を見ると
22:55
モ「な〜に?涼ちゃん来ないな〜って?」
モモさんはそう言ってニヤリと笑った
「ち、違いますよ!」
モ「へへっ!Aちゃんだいぶ仕事慣れてきたけど、
就職活動の方はどう?」
あ…や、やばい
正直こっちを優先してて
ぜんっぜんハロワ行ってない!!!
「ま、まぁぼちぼち!」
モ「まぁゆっくりね!
お客さんもAちゃんのこと気に入ってくれてるし!」
「はい…!あ!そうだ、涼太さん最近来ないですね」
モ「あ〜そういえばこの前!
もうすぐドラマの撮影あるって言ってたし忙しいんでしょ!」
「ドラマ…?」
モ「あら?知らないの?涼ちゃんのお仕事」
「涼太さんとあまり仕事の話はしないので…」
モ「アーティストやってんだよ〜!俳優もね!」
咄嗟に頭に浮かんだ
"やっぱり"
だってあんなに顔が小さくて背が高くてイケメン
一般人じゃないに決まってるし
そう思ってたからさほど驚きはしなかったけど
いきなり少し遠い存在に感じた
ーーー
「お疲れ様でした!」
モ「Aちゃんお疲れ様〜!また明日ね!」
モモさんはそう言って私に手を振る
私もモモさんに手を振ってお店の扉を開いた
はぁ…今日は暇だったなぁ
涼「Aちゃん?」
「…え?」
名前を呼ばれて振り返ると
涼太さんが目が隠れるくらい深く被っていた帽子を
ヒョイと上げてにっこりと笑った
「涼太さん!?」
涼「急いで来たんやけど、もう終わちゃった?」
「あ、はい」
涼「まじか〜」
「最近忙しいんですね」
涼「うーん、まあね!」
「また来てください…じゃあ」
涼「あっ、帰り際にごめんな!」
「いえ!」
涼「…帰るなら、一緒に帰らへん?」
「…え?」
涼太さんは軽く首を傾げて
優しい笑顔で私にそう言った
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作者名:ゆちゃん | 作成日時:2022年3月24日 17時