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亜嵐のスマホがブーブーッと音を立てる
亜「あ!やべ!!もうすぐ出番!!」
「え!何してんの!早く行きなよ!」
亜「じゃ、じゃあ!」
亜嵐は私に背を向けて走り出したかと思うと
立ち止まってこちらを振り返る
亜「A!また、連絡してもいい?」
胸がドキドキした、嬉しい
前みたいに連絡取り合ったりご飯に行ったりしてもいいのかな?
今度は上手くやるからさ……
「…うん、待ってる」
亜嵐は目が無くなるくらいの笑顔を見せて
私に大きく手を振ると背を向けて駆けて行った
「…拓弥のとこ戻ろう」
イベントホールの重い扉を開けて中に入ると
会場が賑やかになっていて亜嵐のステージがもう始まっていた
本当にギリギリだったんだ
私は思わず鼻でクスリと笑った
亜嵐を見ていると亜嵐もこちらに気付いたのか
私にニッと笑って見せた
「かっこいい…すごいなぁ亜嵐」
あの頃みたいに妬む気持ちは少しもない
努力して辛い思いもしてあの人柄で
亜嵐はステージに立ってる
楽して夢叶えて幸せになれる人なんていないんだなぁ
「あっ…拓弥探さなきゃ」
私は急いで拓弥の元へと向かった
亜嵐のステージ見てたらどうしよう……
ーー
「拓弥?」
拓「あぁ、A遅かったな〜」
「拓弥見つからなくて探したよ」
拓「あん中うるせーからさ外来ちゃった」
拓弥にしては珍しくナイスタイミングだった
亜嵐のステージが始まる前に拓弥はホールから出ていたっぽい
だから拓弥は亜嵐がこの会場にいることを知らない
私は拓弥に聞こえないくらい小さくホッとしたため息をついた
「そっか…今日はもう帰ろう」
拓「え?もう良いの?」
「うん!」
拓「じゃあ帰って飲み直すか〜」
「そうだね、コンビニ寄って帰ろう!」
私は拓弥の腕を掴んで会場を後にした
まるで仲のいいカップルの様に
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作者名:ゆちゃん | 作成日時:2022年1月26日 18時