Happy Valentine《five》 ページ43
「じゃーあー……そなたにおしえてしんぜよぉおー……」
そう言って疾風は人差し指を俺に向けた。
「ははーっ有り難き幸せー。……で、なんだよ」
可愛いから乗ってしまった。
可愛いって恐ろしいな。
「…たしかに、お前、りょーり下手っぴだから、フツーにつくるより、ずぅっと時間かかっちゃうけどー……」
「はは…左様ですか……それは申し訳ない」
いやでも、無理やり手伝わされてんだからな俺。
まぁ嫌じゃないけど。
「…おれねー、おまえとりょーり作るの、すげぇすきだよ……だって、」
「わっ…!」
突然、後頭部をぐいっと押さえられたかと思ったら、至近距離に疾風の顔があった。
それに、あぁ、疾風がしてきたのだと確信する。
「はやっ…」
正直だいぶ驚いている。
普段疾風はこんな事をするような奴ではないし、中学からの付き合いとは言え、好きな子にこんな事されて、驚かない訳が無い。
と、疾風は俺の頬に両手を添え、ふへへ、と笑った。
それにキュンとしないわけもなく。
しかし、疾風の行動の意図が読めず、頭の中には?がいっぱい。
そんな俺に優しく語りかけるように、疾風は言った。
「……おれ、ひとりでつくるより、かざはと作ったほうが、ずっと、ずぅぅぅぅっと楽しいから」
「……っ!」
鈍感だし、シスコンだし、男だし、馬鹿だし、お人好しだし、本人は気づいてないけど何気にモテてるし。
正直、コイツを好きになったところでメリットなんてひとつもなかった。
けれど…、
「……うん、俺も」
そう呟き、疾風の唇に触れるだけのキスを落とした。
疾風はぼーっとマヌケ面で俺の顔を見つめていた。
それさえも可笑しくて、愛おしくて、ついつい顔が綻んでしまう。
「あー……」
疾風の、俺と大して変わらない大きさの体を、優しく抱きしめる。
そして、ひと言だけ、「好きだよ、疾風」と呟き、
眠った彼の瞼に二度目のキスを落とした。
……こんな時ばかりは、お前に惚れてよかったと思わずにはいられないのだ。
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優也 - いつも見させてもらってます。そのうち弓月さんと風葉さんの過去を書いていただけたらな〜と思っております… 更新がんばってください!待っておりますので! (2018年4月24日 23時) (レス) id: 11b57a102b (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 抹茶タピオカさん» ありがとうございます!!疾風も喜んでおります!!顔はですね……一応イメージはあるのですが、ご想像にお任せします!( ´ ▽ ` )ありがとうございました^ ^ (2017年2月26日 18時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
日向明音@桐山照史になりたい人生だった*ペアネ中(プロフ) - 大輝さん» いえいえ!断固かざはや派やけん! (2017年2月23日 17時) (レス) id: dd2fa960e2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ(プロフ) - 疾風君もう、ほんとかぁいい!!顔もきっと可愛いのかな?(hshs(( (2017年2月22日 23時) (レス) id: 928f7078a5 (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 白鳥沢LOVE@無理ゲーはパスさん» ご指摘ありがとうございます!!こんな簡単な文字を間違えるなんてお恥ずかしい…!!本当にありがとうございます、直しておきます(^_^;) (2017年2月22日 21時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大輝 | 作成日時:2017年1月22日 21時