ろくじゅはち。 ページ33
「……っ」
目の前でニヤニヤと笑うソイツは、紛れもなく、昨日俺に色々してきた奴だった。
体が強張る。
逃げるにも、足が空くんで逃げられない。
怖い。
「な…なん、だよ」
絞り出した声は、酷く震えていた。
こんな状況下では強気でいくしかないと踏んで、先輩であるこいつにタメ口で言ったけど、怖いもんは怖い。
「別に用はないよ?教室に行こうと思ったら君がいたからさ」
「は…意味わからん…」
本気で意味わからん。
普通、通りがかりの生徒(男)にこんなことがする?
しねぇよ、普通だったら。
「……っあの、俺、急いでるんだけど…」
「風葉のとこに行くの?」
「…え、なんで…っ」
「なんでわかったの」と、そう聞こうとしたが、なんだか風葉の元へ行くのを悟られてはいけないような気がして、慌てて口を塞ぐ。
けれど、時すでに遅し。
「相変わらず分かりやすく顔に出るね、君」
「……っ、悪いかよ…」
「ううん、別に悪いことないけど…寧ろ好都合」
そう言って、弓月は、俺の右手にチュッとキスを落とした。
これを女相手にすれば、一発で落ちるだろう。
だが生憎、俺は男である。
ときめくどころか、虫唾が走って仕方がない。
……でも、やっぱり、綺麗な顔しているのだと、切れ長な眼で見つめられて思った。
ってそんな事言ってる場合じゃない!!
早く風葉のとこ行かなきゃ帰っちゃう!
「…あの!何がしたいかわかんないんだけど、用が済んだなら、退いっ…」
「退いて」と、そう言いかけたその時、突然ぐっとシャツの襟元を引っ張られた。
予期せぬ出来事に体勢が取れていたはずもなく、俺は見事にバランスを崩す。
と、その時、「おっと」なんて言って、俺の腰を支えるように持ってくれた弓月のおかげ(元は言えばこいつのせいだけど)で転倒せずには済んだ。
「…なんか、君ってちょっと鈍臭いよね」
「どんくさ…っ!?」
な、な、な…っ!!
心外だ!実に心外だ!!
なんでたった二回しか接していないこいつにこんな事を言われなけりゃならんのだ!!
やっぱ俺こいつ嫌い!!
塞いでいた顔をぱっと上げると、俺より何センチか身長の高い弓月と目が合った。
その距離、僅か数センチ。
え、ちか。
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優也 - いつも見させてもらってます。そのうち弓月さんと風葉さんの過去を書いていただけたらな〜と思っております… 更新がんばってください!待っておりますので! (2018年4月24日 23時) (レス) id: 11b57a102b (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 抹茶タピオカさん» ありがとうございます!!疾風も喜んでおります!!顔はですね……一応イメージはあるのですが、ご想像にお任せします!( ´ ▽ ` )ありがとうございました^ ^ (2017年2月26日 18時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
日向明音@桐山照史になりたい人生だった*ペアネ中(プロフ) - 大輝さん» いえいえ!断固かざはや派やけん! (2017年2月23日 17時) (レス) id: dd2fa960e2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ(プロフ) - 疾風君もう、ほんとかぁいい!!顔もきっと可愛いのかな?(hshs(( (2017年2月22日 23時) (レス) id: 928f7078a5 (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 白鳥沢LOVE@無理ゲーはパスさん» ご指摘ありがとうございます!!こんな簡単な文字を間違えるなんてお恥ずかしい…!!本当にありがとうございます、直しておきます(^_^;) (2017年2月22日 21時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大輝 | 作成日時:2017年1月22日 21時