はち。 ページ8
「お前さぁ」
「うん?」
「妹大事なのはわかるけどさぁ…ここまでやるか?普通」
「まあ俺の楓華に対する愛は一級品だから。普通じゃないから」
「アーソウヨカッタネ」
薄目でそう返した風葉は、心底ウザそうにしていた。
今に始まった事じゃない。俺のメンタルは鋼だからこんなん1ミリも辛くない。
寧ろコレ風葉の俺に対する愛なんじゃないかって思い始めてる。
「……いや、そういう事を言ってんじゃねぇんだよ。わかるだろ?」
真面目な顔してそう言う風葉。
「どうせいずれは誰かのモノになるだろ。いくら世話になったからって、ずっとお前のそばにいるわけじゃない。今のうちに…」
「楓華はモノじゃねぇよ」
そう、笑顔で返した。
風葉は、少しビクリとして、何か言いたげだったけれど、押し黙った。
俺は続ける。
「……わかってる、そんなこと。…でもな、両親亡くしてから、一緒に色んなモン越えてきた唯一の家族なんだ。痛みも苦しみも、悲しみも喜びも全部、2人で分け合ってきた。……あいつには、苦労かけたし。だからな、幸せになって欲しい。……でも、まだ、誰にも託せない。」
両親を亡くしたのは俺が12歳の頃だ。
施設には入らなかった。
親が、万が一の為と貯金していたお金がかなりあったから、働くなんてことにはならなかったけれど、
それでも苦労はした。
この6年間、楓華が幸せだったのかはわからない。
「……楓華は、今も十分幸せって言うだろうなぁ。優しいし、あいつ」
でも、それじゃあ俺が満足できない。
楓華には、泣くほど幸せになって欲しい。
いつか、楓華がこの人だって決めた相手と。
だから、それまでは、
「………たいっっせつな妹に、誰一人近づかせねぇよ」
今はまだ、俺だけでいい。
690人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここあ - バイセクシュアルではなくバイセクシャルでは? (2018年10月26日 14時) (レス) id: 0f9e78fc04 (このIDを非表示/違反報告)
野菜ジュース - めっちゃ面白いですね!!更新頑張ってください!!(*TーT)b (2017年7月22日 20時) (レス) id: 59730cd92e (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 西野 茜@夜桜智恵理親衛隊さん» ありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです…!(((o(*゚▽゚*)o)))お気に入り登録、ありがとうございます!!嬉しいです^ ^ (2017年1月27日 19時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
西野 茜@夜桜智恵理親衛隊(プロフ) - もう、大興奮です!すごく面白いです!早速お気に入りに登録しました!! (2017年1月24日 15時) (レス) id: dd2fa960e2 (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます!!楽しんでいただけたようで…!そう言って頂けてとても光栄です、ありがとうございます!!(=´∀`)人(´∀`=) (2017年1月24日 7時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:大輝 | 作成日時:2017年1月3日 14時