にじゅし。 ページ27
「ちょっ…!」
ベルトを外そうとする弓月の片腕を、両手で握る。
弓月は、不思議そうな顔をして「なに?」と言う。
「いやっ……下は、さすがにっ…!!」
やっぱ無理!
覚悟したけどやっぱ無理!!
これはない。
流石にない。
俺、男は当然、女の経験もないのに!
えぇ童○ですけど何か文句でも?
「……ねぇ、ハヤテ君」
「…っ」
耳元で囁かれた。
ぞわりと背中に電流が走った。
息っ…かかってる…!
「……今、この状況で、どっちが不利なのかわかる?」
「…!」
さっき名前を呼ばれた時より、ほんの少しだけ、低い声だった。
弓月の腕を握った手が、わずかに震えだした時、弓月は俺の両腕を片手で掴み、俺の頭上で押さえつけた。
「…っゆ、」
「あのさぁ」
俺の声を遮るように囁く弓月。
それもつかの間、両腕を押さえつけていない方の手で、顎をくいっと上げられる。
無理やり視線を合わせられる。
俺の股には、弓月のすらりと長い足がある。
……これ、もう、逃げられないやつ。
「…っ、」
恐らく、強張った顔をした俺も知らんぷりで、弓月は言い放った。
「そうやって拒否られるの、別にプレイとしては嫌いじゃないんだけどね…」
至近距離の言葉。
弓月は笑ってるはずなのに、恐怖でしかなかった。
「…流石に、されすぎてもウザいというか……めんどくさいから、やめてくれる?」
「…っ!」
目を薄め、そう言い放った弓月は、悪魔、という表現がぴったりな程、恐ろしかった。
あまりの恐ろしさに、声も出なかった。
「妹ちゃん、守りたいんでしょ?なら、我慢しなよ。…ハヤテくん?」
俺の妹は最大の弱みだ。
妹を出されると、俺は何も出来ないし、何も言えなくなる。
それをこいつはわかってる。
「…わかったなら、反応ちょうだい?」
「…っ」
にこりと微笑みそう言う弓月に、俺は、頷く他なかった。
「……うん、いい子」
…そう言って、弓月は俺の両腕を離し、俺の首に顔を埋める。
目を強く瞑り、歯を食いしばる。
「…っふ、ぅぐっ……」
目尻に溜まった涙が、ホロリと零れた。
恐怖より、羞恥心より…男にこんな事される自分が情けなかった。
…大丈夫だ、自分さえ耐えれば、妹は何もされない。
今だけ、今だけ我慢しろ。
……そう、自分に言い聞かせたその時だった。
_________ぐいっ
「……!!」
解放された右腕を、誰かが強く引いたのだ。
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ここあ - バイセクシュアルではなくバイセクシャルでは? (2018年10月26日 14時) (レス) id: 0f9e78fc04 (このIDを非表示/違反報告)
野菜ジュース - めっちゃ面白いですね!!更新頑張ってください!!(*TーT)b (2017年7月22日 20時) (レス) id: 59730cd92e (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 西野 茜@夜桜智恵理親衛隊さん» ありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです…!(((o(*゚▽゚*)o)))お気に入り登録、ありがとうございます!!嬉しいです^ ^ (2017年1月27日 19時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
西野 茜@夜桜智恵理親衛隊(プロフ) - もう、大興奮です!すごく面白いです!早速お気に入りに登録しました!! (2017年1月24日 15時) (レス) id: dd2fa960e2 (このIDを非表示/違反報告)
大輝(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます!!楽しんでいただけたようで…!そう言って頂けてとても光栄です、ありがとうございます!!(=´∀`)人(´∀`=) (2017年1月24日 7時) (レス) id: 0fd182ca0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大輝 | 作成日時:2017年1月3日 14時