シアトリカルな彼女 2【H×H】

3章5話　邪魔になる男 ページ5

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　男の底の無い暗さを持つ瞳と、視線がかち合う。そうして牽制された事で、ふと気が付いた。


(あぁ、やば。殺気漏れてた……)


　ハンター試験、雑魚狩りと続いたせいで、最近は少し平和ボケしていたのかもしれない。

　それでも、割と微細な殺気だった筈なのだが……簡単に気取られてしまうと、やはり彼は、邪魔になる気配しかしない。


｢占いが得意なんだってね。えーっと、誰に聞いたんだっけかな｣


｢うん、得意だよ。えらい人にも頼まれるもん｣


　競売品の下見までまだ時間があるので、私達はホテルのラウンジのテーブル席に座った。

　私の隣にネオン、ネオンの正面に男、という位置取りのまま私は、2人の会話を適当に聞き流しながら、これからの計画を即興で練る。


｢どのくらい当たるの？ 占い｣


｢百発百中なんだって｣


　まず、元々の私の計画を明記していなかった気がするので、今から説明する。

　手順1、ネオンと仲良くなって、間接的にノストラードを操る。これは前から割とできていた。

　ノストラードが周囲の想定よりも大きく、敵もなく育ったのは私の根回しが影響している部分もあるくらいだし。

　しかし、友好的な関係を築いたまま、ノストラードを決定的に意のままに操ることはできない。

　だが私は操りたい。


　──なので、ネオンに成り代わらせてもらおうかと思っている。


(はじめは殺して成り代わろうと思ってたんだけど、なーんかあの子、憎めないのよね)


　生まれ育った場所によって性格や人生が振り回されている、という点で、少し親近感を感じてしまったのかもしれない。


(あぁ、ほんとに嫌ね……)


　もし、この心に逆らってネオンを殺せば、私はまたひとつ、私の“野望”に近付く事ができるのだろうか。


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