その205 ページ5
「？ しょーとも頭良いし、そうかもね」
「なら、あいつなんかに聞かなくても俺に聞けばいいだろ！」
「私が誰に勉強教えてもらっても、私の自由でしょ。
…ね、さっきから言い方に棘を感じるんだけど私しょーとに何かした？」
「別に」
「…そう？じゃあ、私はこの後用事あるからこれで」
そう言うと彼女がこの場を去ろうとした。
まだ言いたい事、何も言えてねぇ。
咄嗟に彼女の手を掴む。
「…あいつと仲良くすんなよ」
は？何で俺はこんな事言っちまったんだ。
早く取り消さないと…
「…何でそういう事言うの？私、そんなしょーととは話したくない」
彼女の冷たい眼差しとその言葉に、俺は暫く動けなかった。
もうすぐ最終下校時間なのに轟くんが教室に帰って来ない。
鞄はあるから帰った訳じゃないのは確かだ。
ケータイに連絡してみると…数回かけたところで繋がった。
なんだか様子が変だ。もしかして…
心配で一緒に帰る道中、彼から話を聞くと…
予感は悪い方に的中していた。
星花さんと話し合う事は出来ず、彼女に心ない言葉を言ってしまったらしい。
「…緑谷、折角アドバイスくれたのに悪かったな」
「い、いや、そんな事ないよ」
その後はずっと無言のまま最寄駅に着いてしまった。
「それじゃあ…」
「と、轟くん！一つ提案があるんだけど…」
自宅にて。
手紙か…。
確かにそれなら今日みたいに思ってもいない事を言ってしまうなんて事は起こらねぇな。
それに俺は話すのが上手くねぇからな。
そう思い、今の気持ちを書くことにした。
翌日。
ヒーロー基礎学の補習時間。
散々動き回った後の締めに、10キロのランニング。
体力には自信のある私でも結構キツかったと思いながら水分補給をする。
心操くんはあとラスト1周か、頑張れ！と思いながら見ていると、相澤先生から声をかけられた。
「これって…？」
「轟から預かったものだ。
…その顔は何か思い当たる事があるんだな」
「この間先生に話聞いてもらったあれ関係だと…」
「そうか…早くクラスメイト全員揃ったいつもの雰囲気でHRしたいもんだな」
そう言うと先生は職員室に戻って行った。
期末試験前日。
ヤオモモと話しながら演習場に向かっていると…
「耳郎さん？どうかされました？」
「Aの声がする気がする…」
「本当ですの？Aさん、ついに…あら！どなたかの話し声が聞こえますわね」
演習場の扉を開けると…
2人の話している姿が見えた。
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作者名：秋葉 | 作成日時：2020年11月30日 21時
