その233 轟・相澤 ページ33
きっと百ちゃんならあれ見ただけで、私がこの試験場のどこかにいるんだって分かるんだろうな。
私の試験はクラスメイトにバレちゃいけない、だから自分からそういう行動とったのは、もう補習行きだろう。
でも百ちゃんがあんなに悩んで暗い顔しながら走っているのを見て、それを知りながらただ見ているだけなんて出来なかった。
だからあの行動に後悔はない。
気持ちを切り替えて…
この試験中にしょーとと相澤先生、特に先生の方は絶対にマーキングしないと、と探していると見つけた。
ん？何で先生は、敢えてあんなに目立つ場所にしょーとを拘束してるんだろう。
そう思いながら、先生としょーとにマーキングし終わった時、先生がちらっとこっちの方を見た。
うん、きっとバレてるな。
まぁ、先生にはバレても試験条件的には問題無いからね。
というか百ちゃんにバレた時点で試験中止になってもおかしくないよね、一応最後までやらせてくれるって事なのかな？
なら後はオールマイト先生だけだ。
緑谷くん達の試験会場に向かおうとしている道中、引き返している百ちゃんが見えた。
その表情は先ほどと違い、意志がみなぎっている。
やっぱり百ちゃんにはそういう表情でいて欲しい。
そして、私の行動がそのきっかけになっていたら嬉しいな。
八百万が戻って来たので一旦引き、様子見をしている。
彼女の表情は数分前のそれとは明らかに違っていた。
自身で乗り越えたのか、星花から何かしらのきっかけが有ったのかは分からないが…
今の八百万と轟なら、各々の課題を克服してこの試験をクリア出来そうだな。
リカバリーガールから連絡が入った。
八百万が立ち直ったのには星花の働きかけがあったらしい。
「そうですか、分かりました」
「おや、試験をこのまま続けさせて良いのかい？」
「まだ、彼女の試験内容が八百万に知れたって確証がないので」
「…そうかい。
ふふっ…私の孫は良い先生が担任についたもんだねぇ」
「…そんなんじゃないですよ。
あいつらに動きあったんで切りますね」
そう言ってリカバリーガールとの通話を終了させた。
俺はただ、生徒達を誰一人死なせる事なく、ヒーローとして活躍させてやりたいだけだ。
死んじまうと何も出来ない。
やるせない思いだけが、きっと本人にも…。
「轟と八百万の作戦、お手並み拝見といこうじゃないか！」
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作者名：秋葉 | 作成日時：2020年11月30日 21時
