【STPR】愛しいあなたと【Colon】

放送 ページ30

−−21:00

Aは定刻通り、ななもり。さんの配信画面を開けた。
ちょうど、オープニングの曲が流れているところだった。
2曲目の途中で、音楽がフェードアウトし、BGMが流れてきた。

「はーい、みなさん！こんばんは〜！ななもり。でーす！」

低く、心地よい声が流れてくる。
コメント欄には「わこもり！」「配信嬉しいー！」と言う声で溢れていた。

「みんなありがとー！俺もみんなとお話できるの嬉しい。今日はねー、まったり雑談したいなーって思ってんだよね」

『ころんさんの彼女の件、大丈夫ですか？』
『ころんくんに彼女できたって本当ですか？』

コメント欄に、ころん関係のコメントが流れてくる。
Aは、心がズキンと痛む。

「うん？ころんの彼女？あー、それね！！その話も、直接“俺”から話したくて、実は枠とったんだよね」

『直接？？』
『どういうこと？』

「うんうん。実はね……え、ちょっとみんな！ビックリしないでね。ここだけの話だから、みんなには内緒にしてほしいんだけど……

ころんと一緒に写ってた女の人、俺の従姉妹なんだよね」

ななもり。さんの衝撃的な発言に、誰よりもAが驚いた。

『え？』
『いとこ？！』
『なんで従姉妹さんがころんくんと一緒にいるの？』

「そうそう。

あのね、俺の従姉妹…Aちゃんって名前なんだけど、地方に住んでて、そう。

今年から社会人になって、上京してきたのね。

で、上京してきたばかりだから、まだ東京に友達が居なくて。

うんうん。そう。俺が東京を案内しよーってなったんだけど、ちょうどころんとも遊ぶ約束してて、じゃあ3人で遊ぶかーってなったんだよね。

で、3人で出かけてたんだけど、俺がちょっと仕事の電話に出てたときに、写真を取られたんじゃないかな。

だから、この子はころんの彼女じゃないよ！俺の従姉妹。むしろ、ころんが彼氏だなんて俺は認めないからね！」

ななもり。さんはそう言いながら笑っていた。

『なーくんの従姉妹さんなの！』
『確かに恋人という距離感とは、また違った気がする』

「うーん。そうそう。まあでもね、俺がこういったところで、信じる人もいれば、信じない人もいると思うのね。

嘘だらけのネットの世界だから、しょうがないと思ってて。

だけど、ころんのことが好きで、応援してるんだったら、ころんのことを、信じてあげてほしい。

俺から言えるのは、それだけ」

配信中の通話→←作戦

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す