片思いの ソノ先に…【黒】vol.2

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少しずつ

ホンマに少しずつやけど、清水さんとの距離
確実に縮まってきてるっていう実感があった

時間があるときは、彼女の演奏会に顔を出し、これまでメールだけだったのに、電話もちょいちょいするようになって

そんな中 迎えた、彼女の最後の演奏会


その堂々とした演奏に、心打たれて

時折みせる笑顔に、心奪われる


本番が終わってすぐロビーに出るも、多くの人で彼女を探し出すことが出来ない

行ったり来たりを繰り返すうち、見つけた彼女


その前に立つ ヨコ


声をかけるのを、一瞬躊躇したけれど、ここで引いたら何も始まらないと、彼女の肩にそっと触れた



振り向いた彼女は、大きな花束を抱えていて、それがヨコからのプレゼントだと聞いて

彼女の後ろに立つヨコのこと、思わず睨みつけた


“お前、彼女おるやんけ。
清水さんだけ、特別扱いすんの やめろや”

それを悟ったのか、その場を立ち去ったヨコ


なんで、そんな寂しそうな顔すんねん

俺、ちゃんと忠告したで？


一度はお前に託そう思った、清水さんのこと

でもお前は、マミを選んだ

せやから、俺が清水さんを守るって、決めてん


もう、手加減なんてせぇへんからな




その日の夜

思い切って、春休みに誘ってみた


“今日は、ありがとうございました”

そんな言葉から始まり、最後には


“春休み、楽しみにしています”


なんて、返信




これは、いくしかない

春休み、出かけられたら その時は“カレカノ”として、堂々と街を歩きたい



彼女の卒業式当日

一張羅のジャケットを羽織り、家を出る


電車の中

“音楽室で、待ってます”


それだけを彼女にメールで送った



去年と同じ想いを


去年と同じ場所で



彼女に伝えるために、高校の門をくぐった

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