片思いの ソノ先に…【黒】vol.2

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大学に入学して入ったサッカーサークル
そのサークルの合宿が、たまたま清水さんのコンクールと重なった

休んでまおかな？とも思ったけれど、まだ下っ端の一年生
それは大人としてアカン事やと、合宿に参加を決めた


それでも、どうしても清水さんの事が気になって、大会前日に初電話

緊張しながら呼び出し音を聞いていると、程なくして聞こえてきた彼女の声

俺なんかよりも、緊張の色が見てとれて



やっぱり、直接応援したい


彼女に 逢いたい




「先輩、お願いしますっ。2時間だけ抜けさせて下さいっ！」

先輩に直談判。認めてもらわれへんかと思ったけれど


「村上がそれだけ切羽詰まった顔してるんなら、よっぽどのことだろ？いいよ、行ってこいよ」


「あっ…ありがとうございますっ！」


あっさりと認めてもらえて、コンクール会場へと走る




会場に入って、目に飛び込んできた彼女の姿

流れる汗も気にせんと、彼女に声かけて、お守り渡して


彼女が居なくなってから、気が付いた

ジャージ姿なんて俺くらいなもんで、場違いなことこの上ない

それでも、彼女の演奏だけは聴きたくて、客席の一番後ろの隅の席に着いた




結果発表後

今晩、おめでとうのメールでも送っておくかと、彼女には会わずに帰るつもりやった


それなのに

“村上先輩っ！”

なんて、大きな声で呼び止められて


“先輩のお守りのおかげです”

なんて、目 潤ませながら言われたら、どうしても彼女に触れたくなって



彼女の頭に手を置いた


……ものの、どうしていいのかわからなくなって



「よぉ、頑張ったなぁ」

と少し力の入った手で、頭を撫でる



「はいっ。先輩 今度の全国大会も見にきて下さいね」


「おぅ。その日は絶対 空けとくから。ほんなら、もう行くな」


「先輩っ、これ」

再び俺の元に戻ってきたお守り


「ありがとうございました。あと これも…」

手渡されたスポーツドリンク


「これは、全国大会まで持っとき」

お守りを、彼女の手に握らせ


「こっちは、もろとくわ。ありがとうな」



会場を出れば、空はオレンジ色に染まりつつある

アカン！2時間過ぎてまう

来た時の様に、猛ダッシュで合宿先のグラウンドを目指す



やっぱり、今日は 来てよかった


清水さんから、もらったスポーツドリンクを、一口飲み


「よっしゃ、俺も頑張ろう」


晴れやかな気持ちで駆け出した

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