片思いの ソノ先に…【黒】vol.2

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連絡先を教えてもらったものの、いつメールしたらいいのか…と迷った挙句、はたと気がついた

卒業式が終わって休みなのは、3年生だけ

ほんなら、サッカー部に顔出すついでに、会いに行ったらええやんか


体が鈍るから…なんてのは半分が建前で

清水さんに会いたい…ってのが、本音 だったりもする



2人で喋っとっても、時折見せる寂しげな表情、哀しげな瞳


ヨコんこと、思い出してるんやろな




少しでも笑ってもらいたくて、冗談言うてみたり、最近では昔ピアノ習ってたって話をしたら、えらい驚かれて……

でも、それを機に 少し彼女との距離も縮まった気もする



大学が始まると、そう簡単に高校にも行くことができなくなって、自ずと清水さんに会うことも無くなって


何度も手にしたスマホ

何とメールしたらいいのかわからず、1日また1日と過ぎて行く


迷っとっても しゃーないか…と送った

“今日も大学、大変やったわ”

短い文章


初メール。素っ気無さすぎたか？と後悔したのは、送信ボタンを押した後

こんな気の利かないメールにも


“お疲れ様です。こちらも一年生の指導に毎日大変です”

すぐに返信があって、ホッとしたのと共に、頬が緩む


元々メールなんてあまりしない性分

思い出した時にポツリと送る程度なんに、彼女は必ず返事をくれる



「すみません。先輩 お忙しいのに…」


もう直ぐ期末テストだという話題から、清水さんの日本史嫌いが発覚

“俺 得意やし、良かったら教えよか？”

その誘いに


“いいんですかっ？”

乗ってくれた彼女



久々にやって来た高校の図書室

清水さんと向かい合わせに座り、お互いの課題に取り組む

彼女の苦手な箇所、俺なりの解釈で答えてあげると


「へぇ〜、そういう事か…
村上先輩、凄いですね」

目 キラキラさせて、褒められて


他の奴になら、“せやろ？俺 出来る子やねん”なんていうところやけど

「いや、んな事ないって」

彼女に見つめられて、思わず照れる



それなのに


「先輩、そこの単語 綴り間違ってますよ？」


「えっ？どこ？」


「ここ」


「これっ？“i”やっけ？“e”やっけ？」


「……“a”です」



かっこ悪いとこ見せて、呆れられたと落ち込んどると


「先輩、いつも完璧だから、何か そういうとこ見られて、安心しました」



クスクス目の前で笑う彼女

そんな笑顔見とったら



あぁ、やっぱ 清水さんには 笑顔が一番や




ボンヤリと、そんな事を考えた

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