僕らのイケメンな姫２

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『あー難しい！』




頭を抱えながらブースから出てきたA。

花火はなんとか１番だけ歌い終える事ができたのだが、Aは改めて自分の未熟さとレコーディングの難しさを痛感し、溜め息をつきながら倒れ込むように椅子に座った。




『……もう疲れた』

直「おいおい、まだ始まったばっかだぞー」

『した事ないくせに偉そうに言うんじゃないよ(笑)』


直「すいません」




EXILEでも三代目でも直人はパフォーマーなのでレコーディングをする事なんてなく、そんな彼にAの精神的疲労は分かりっこなかった。

そして手術をしてまだ一週間しか経っていないAの脚は立ちっぱなしというこの状況に体力的にも限界を感じていて、それもA本人にしか分からないので彼女は周りが思っている以上に辛いという感情を抱いていた。









AT「…A」




一口だけ水を飲んで再びブースの中へ戻っていったAにマイクで呼びかけるあつし。

その要件はさっき直己と話していた若干声を似せていっているという事で、あつしは地声で歌えという無茶な課題をAに与えたのだが、自覚症状がまったくない彼女にはそれがどういう意味かまったく分からず




『……どうすれば…？』




と最上級の困った表情をあつしに向けた。




『…すみません、私は地声で歌ってるつもりなんでどうすれば良いのか分かりません』

AT「そんなの簡単だよ。これを三代目の曲だと思わず自分のもんだと思って歌えば良い。Aは地声のつもりでも俺らには似せてるように聞こえるし、似てたらMIAKAが歌う意味がない」


『……意味がない……ですか…』




Aは本当に似せているつもりなんてなくカラオケで歌っているような感覚で取り組んでいたので、地声で歌えと言われるのは理解ができないしものすごく難しい事でもあった。

そのせいでAは地声で歌おうと変に意識し過ぎてピッチにまで頭が回らなくなってしまい、自然と音程がガタガタになるので何度もあつしにストップをかけられ、それによってAのストレスは増す一方だった。

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