Paranoia【短編集】３

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「…５つ目」

『ぁ…ちょ、つけ過ぎっ…』




いつもより少し激しめに突きながらたまに背中に口づけて“ちゅぅ…”と吸い上げると、Aは小さく体をビクつかせて拳をグッと握る。


こんな襲うような形でやるのは滅多にないし印だって付けても２つまでなので、Aは若干嫌がるような素振りを見せてくる。

そのせいで俺が余計興奮しているのを、こいつは分かっていないのだろうか。




『…や…あぁっ、首はだめ…っ』

「…え、もっと？」


『んんっ……言って、ない…』



だって、背中ばっかりに付けていても結局ドレスのファスナーを上げたら見えないじゃんか。

印っていうのは他の男が寄り付かないようにするものであって、こういう日に限り丸見えになっている首筋やうなじに付けないとまったく意味がないんだよ。


束縛が激しい？発想が女々しい？そんなの、勝手に言いやがれ。




「…はい、これがラスト」

『んっ、んあぁっ…』




最後は左肩。

見えるか見えないか、ギリギリのところに一番紅いやつを残しておいた。


キスマークというものを知らない人が見た場合、下手すれば痣と勘違いするくらいのレベル。




「っ…はぁ…、俺…もうイキそう。出していい？」

『…ぁ、んあっ………いい、よ…』


「…ん、」









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・









『もうッ、臣くんのせいで時間ギリギリだよ！』

「だからごめんってー。そんな怒んなよ」




俺がAの中でイッた時には、はじめにAに貰った15分をもう既に超えてしまっていた。

いつもなら終わった後少しの間２人で寝転んでゆっくりするのに、今日はそんな暇もなくすぐさま準備を再開して結局ファスナーも自分でなんとか上げたらしい。


さすが元新体操部、体が柔らかい。




『ねぇ、本当に送ってくれるの？』

「あぁ、そりゃもちろん」


『じゃあお迎えの方もよろしくね(笑)』

「分かってるよ、迎えに行かないと他の男とホテルに行くかもしれねぇし」


『…え、まだ言ってるの？しつこいよ』




悪かったな、うざい男で。




「…つーか、早く出ないとマジで遅れんぞ」


『あ、本当だッ！』

「先車乗ってんぞー」

『え…ちょっと待ってよ！手は繋いでくれないの！？』


「……はぁ…」




そんな可愛い事言ってるともう１回襲っちまうぞ？

俺だけのお嬢さん。









fin.

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