Paranoia【短編集】３

ある日の夢【今市・登坂】 ページ1

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「Aちゃーん、そっちこの色で塗ってくれる？」

『はーい』




私が思うに、ここは恐らくどこかの高等学校。

もう何年も前に卒業した記憶があるのに、なぜ私は学校の廊下で文化祭の準備みたいな事をさせられているのだろう。


…ていうか、私の名前を知っているあなたは一体誰？




『あぁ〜面倒くさい』

隆「な。ちょっと２人で抜け出しちゃう？笑」


『それはダメでしょー(笑)ほら隆二くんも一緒にやろ』




そして私の隣にいるという事は、この人も私と同じクラスの同級生という事になるのか。

綺麗に整えられたヒゲにすっきり上げられた前髪、そして捲られたカッターシャツの袖から伸びる血管の浮き出た腕がなんともセクシーで物凄くかっこいい。


どうやら私はこの人の事を隆二くんと呼んでいるようだが、こんなイケメンと友達なんてこんか事があって良いのか。


こりゃモテるわ、うん。




隆「なぁA、こっちおいでよ〜」

『なに言ってんの(笑)ちゃんとしないと怒られるよ』




私と同じように廊下にいる人達、そして教室の中にいる人達は男女みんな制服でなにやら作業を進めている。


文化祭で使う学級旗のようなものだろうか。

周りの人達や作業している物はボヤ〜としか見えていないし、隆二くんに一緒にやろうと言いながらも私自身まったく手を出そうとしないのでなにをしているのか私には全然分からない。




『…あ、ちょっと隆二くーん、そんな所で寝転ばないでよ』

隆「えー、なんでー」

『なんでーって…、制服汚れるし通行の邪魔にもなるでしょ』


隆「そんなの知らねー。ずっと座ってんのだるい」




…おいおい、君はヤンキーかよ。




隆「……うわッ」


『え、ちょっとなに！？なんかあった！？』

隆「あったあった！なぁA、ちょい来て」

『えぇー…、なんか怖いんだけど』


隆「大丈夫だって(笑)マジでちょっと来て」

『…はぁ…、もうなにー？』




隆二くんの事だから、どうせ蜘蛛が歩いてるとかその程度の事でしょ。

男ってどうしてそんなつまらない事で楽しめたりするんでしょうか、本当に謎だよ。




『…はいはい、来ましたよ 』

隆「おー、Aちゃんやっと捕まえー…たッ」


『きゃッ！！』




……お、なんだこれ…？




隆二くんとは元々隣にいたわけだけど、斜め後ろで寝転んでいる隆二くんに呼ばれて体をそちらに向けた途端腕をグイッと引っ張られた。

そして私はなぜか、隆二くんの両腕に包まれている…。

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