Paranoia【短編集】２

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……なにこいつ、マジで無理なんだけど…！




室A、ただいま人生初の合コンにて人生初の壁ドンというものを体験しております。

私の顔の両端には岩田とかいう人の手があって目と鼻の先に彼の顔があるという状況で、こんな事をされたのは初めてのせいか私の心臓はバクバクだ。


だが１つ言っておこう。私は壁ドンなんてものをするようなキザな男は苦手だ。




『………なんですか』

岩「さぁ、なんだと思う？笑」


『…知りませんよ。てか質問を質問で返してこないでください』




もー…、マジでなんなのこの人？めっちゃ腹立ってきたんだけど。


確かにこの人はルックスだけは璧だ。

しかし今日初めて会った人に対して壁ドンをするなんて絶対軽い人に決まってるし、質問を質問で返すところなんか常識がなっていないと思われても仕方がないだろう。


まぁ私もそこまで常識人というわけではないが、これほどの人は苦手を通り越して嫌いの域に入ってしまうよ。




岩「……てか、Aちゃんってさぁ」




おい、気安く名前呼ぶんじゃないよ！




『…なんですか』

岩「いや、こんな事聞いて怒らないでね？」

『…だからなんですか』


岩「……Aちゃんってめちゃくちゃ可愛いし俺のタイプだけど、結構裏表あるよね(笑)」

『……は？』




うわああぁぁぁ！今こいつめっちゃ殴りたいぃ！

失礼にも程があるし、こんな事聞いて怒らないでね？と先に言われていてもこれはさすがに怒るだろ！




『……なんですか急に』

岩「あ、やっぱ怒っちゃった？でも事実でしょ。みんなの前では凄くいい子ちゃんで気ぃ遣い屋さんなのに佐々木さんと喋ってる時の目はめっちゃ怖かったし、トイレで愚痴を言うのって裏表ある証拠だよね」


『………そんな…』




べつに私は自分を裏と表で使い分けているつもりはない。

人の前では笑顔を振りまくのが当たり前だし、彼氏欲しさに合コンに参加したわけではないので同僚達を引き立たせようとするのは当然だ。


だから私に裏表なんてものは存在しない。




『……あなたみたいな人、大嫌い』

岩「うわ、ひどいなぁ(笑)俺は結構好きだよ？Aちゃんの事。よかったら俺の女にならない？」


『なっ、なりませ………んんっ…！』




この人マジでありえない。大嫌いって言った私になんの許可もなくキスしてきやがった…。

こんなチャラ男、本気大嫌いだ。

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