Paranoia【短編集】２

狭心と広穴【片寄涼太】 ページ34

.




涼「……もぅ、Aいい加減にしなよ」

『いい加減にするのはどっちさ？私がどうしようと涼太には関係ないじゃん』


涼「関係ない？なに言ってんの、俺にも関係大ありやろ！」

『は、どこが？なにが涼太に関係してるって言うんですかー』




今私は、彼氏である涼太と彼の家で喧嘩中です。

まぁその原因はほんの些細な事で…。




涼「…Aさ、あんま自分の体痛めつけてると後で後悔するよ？耳が裂けたりしたらどうすんの」

『裂けちゃったらそれはそれで仕方ないし、私は好きで拡張してるんだから後悔もしない』




涼太は、私がピアスホールを少しずつ広げていってる事がどうも気に入らないらしい。

これまでそれに関して二度も怒られてきたが、私の耳の事なので涼太には関係ないし怒られる筋合いもない。




そもそもピアスホールの拡張とはピアス本体の太さを徐々に太くしていって穴を広げる事をいい、多少の痛みは伴うものの開ける時ほどの恐怖心はまったくない。


太くなるにつれて痛みは増していくが、私はまだ12ゲージの段階なので軽い痛みで済んでいる。

痛いのは涼太じゃないのに、毎度毎度怒られる意味がさっぱり分からないよ。






涼「裂けちゃったら仕方ない…？本当に裂けた時仕方ないで済むと思ってんの？」

『はい思ってますよ。てか裂けたってすぐにくっつんだしなんの問題もないじゃん。まぁ穴はなくなっちゃうけどそんなのまた開ければ良い話だし』


涼「また開ければ良いって……。Aはなんでそこまで自分の体を痛めつけるん？自分の体に穴開けてなにが楽しいねん！」


『誰も穴を開けるのが楽しいとは言ってないでしょ。私べつにＭじゃないし、オシャレしたいから開けてるだけだもん』

涼「…あー、俺には全然分かんない。Aの考えがちっとも理解できないよ」


『じゃあ理解してもらわなくても結構』




ピアスを開けていない(むしろ開けてたまるかと言い張っている)涼太には、どんなに説明しても私の気持ちなんてものは分からないだろう。

……いや、彼はきっと私だけでなくピアスでオシャレを楽しんでいる人々全員を敵に回し、将来きっとピアスを開けていない事が恥ずかしく思えるに違いない。


ピアス愛してる。ピアス万歳！←

▽→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す