Paranoia【短編集】２

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…まったく、あの子は……。




さっさと食事を終えると、食器をテーブルに置きっぱなしでお風呂へと行ってしまった反抗期男子。

それもいつもの事だけど、自分が使った食器くらいはキッチンまで運んでくれても良いんじゃないか？とたま〜に……、いやほぼ毎回思っているのが正直なところで。


何回言っても“面倒くさい”で終わらせてしまう彼は、心の根っこまでお子ちゃまのようだ。






玲「……ふぅ、さっぱりした」




そして、髪の毛がびしょ濡れの状態のままお風呂から上がってくるのもまたお子ちゃまみたい。




『もぅ…、髪の毛はちゃんと拭かないとダメじゃん。風邪ひくよ』

玲「…べつに良い。面倒くさいし」


『またそんな事言ってー。てか上半身裸で出てくるのもやめてくれる？』

玲「無理。だって暑いんだもん」


『…………………。』




……うわー、こいつ一昨日とまったく同じ事言ってやがるよ。








『……このチビめ』

玲「このお節介野郎」

『このクソ坊主ッ！』

玲「この貧乳ババァ」



『はああぁぁぁ！？誰が貧乳なのよ、ちゃんとＣカップあるっつーの！』

玲「じゃあ今この明るい所で脱いでみせてよ。俺がメジャーで測って確かめてあげるから」


『いやいや、なんで私がこんなお子ちゃまに胸を見せなきゃなんないのよ！玲於ちゃんはまだまだガキなんだからそんな物見ちゃダメ』


玲「は？今まで何回も見てるっしょ。てか今日俺の事子供扱いし過ぎじゃね？めっちゃ腹立つんだけど」

『腹立つぅ？こっちとしてはなんで私が腹立たれてるのか理由がさっぱりそっぱり分かりませんね』


玲「……そっぱりってなに」

『うるさい。私が知るわけないでしょ』




“そっぱりってなに”

それに関しては、私もホントそれ！って感じよ。




『……もうこうなったら全部言わせていただきますけどね、玲於ちゃんは私に甘え過ぎ！言われた事もしないで反抗ばっかりで…。あなた一体いくつなんですか？』


玲於「もうすぐ20歳ですけど」

『いやぁ嘘だね！あなたはきっと自分の事なーんにもできない１歳くらいのお子ちゃまだよ。まだそんなに喋れない、よちよち歩きのお子ちゃま！』




そうだ、きっとそうだよ。

そして私は、自分の子ではない彼を必死に育てている哀れなシングルマザーだ。

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