Paranoia【短編集】２

▽ ページ21

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べつに…………べつにね？

龍友が誰のファンだろうが正直のところどうでも良いんだよ。


でもマギーちゃんが彼女なら誰にでも自慢できるというセリフが聞き捨てならないんだ。




『……龍友、今日は帰って』

龍「は、なんでそうねん？意味分からん」




出た。


イラついてる時に絶対巻き舌で言う、“意味分からん”という関西弁。

普段の会話で出る関西弁は好きだけど、不機嫌な時のそれは物凄く怖いんだよね。




『………もういい、龍友が出て行かないなら私が出て行く』


龍「は？お前さっきからなに言ってんねん」

『………じゃあね、おやすみ』




もうこんな奴は無視だ！とヤケになり、携帯と財布だけをポケットに突っ込んで玄関に向かう。

付き合って半年、こんな風に喧嘩して家を出るのは初めてだ。


べつに追いかけてこなくて結構ですからね。




龍「…ちょい待ちッ！」

『うわぁッ！』




…靴を履いている最中に、突然掴まれた私の右腕。

追いかけてくるなと今さっき思ってたとこなのに、まさか出て行く前に止められるとは…。




『…ちょ、離してよ』

龍「嫌や、離したら出て行くやんか。だから絶対離すもんかッ」




なんなの、その可愛い言い方は。




龍「……A、俺がマギーさんの事めっちゃ褒めるから拗ねてんだろ(笑)」

『はぁ！？そ、そんなんじゃないし！』

龍「ははっ、素直じゃないなぁ。言っとくけど俺もしょっちゅう拗ねてるんだよ」

『え、なんでよ？』


龍「だってA、テレビに福士蒼汰くんが映る度にキャーキャー言ってるじゃん。この前なんて彼氏にしたーいって言ってたし」

『………………。』




おい、私の方が結構ひどい事言ってるではないか。

人の事言えない……。




龍「な、分かるだろ？俺がマギーさんの事可愛いって思う気持ちは好きとかそんなんじゃないから。俺の中で一番可愛いのはAだし、好きなのもAだけ」


『……龍友…』

龍「分かったらはい、おいで」




さっきのイラついている顔はどこかへ消え、優しい笑顔で両手を広げる龍友。

私はなんだかバカバカしくなってきて、思い切り龍友の胸に飛び込んだ。




『……あ、でもマギーちゃんなら自慢できるっていうのはちょっと腹立つ』

龍「うん、それはごめん」




え、Aも十分自慢できるよとか言ってくれないの！？




龍「…A、好き」

『…………バカ…』




仕方ない。

今ので全部チャラにしてあげる。








fin.

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