終わりなき哀しみ３

107 ページ7

.




よしっ…。






臣くんから“今タクシーに乗った”という連絡を受けて、結構な時間をかけて作った食事をテーブルに並べ終える。



なにが好きなのか、なにが嫌いなのかさっぱり分からない為とりあえずたくさん作ったのだが、明らかに２人前ではない量を見て自分でも苦笑いを浮かべてしまった。



３日は同じものが続くな…。









ピーンポーン…






一応ワインなんかも並べて……なんていう作業をしていると、テレビもついていない静かな部屋に突然インターホンの音が鳴り響く。



まぁ時間的にそれを鳴らすのは１人しかいなくて、私がはーいと言いながら開けたドアの向こう側には、






臣「…た、ただいま……(笑)」





うん、予想通り臣くんだ。



でも彼はタクシーで向かうと言っていたのに、なぜか物凄く息が切れている。






『お、おかえり……？(笑)てかどうしたの？そんな息切らして…』



臣「いやっ、早くAに会いたくて………走って階段上って……はぁ…」



『…なにそれ(笑)』






エレベーターで来ようが階段をゆっくり上って来ようがそれほど差はないのに、１秒でも早く…なんて言われたらさすがの私でも照れるよ…。



彼は顔だけでなく行動もイケメンだ。









『……ちょうどご飯できたとこなんだけど、先にお風呂入る？』



臣「飯！Aが作った飯を今すぐいただきたい！」






なにこの人…。



かっこいい要素だけでなく可愛い要素も兼ね備えているのか…？







臣「…てか入っていい？」



『え、あ、ごめん！どうぞどうぞ…』



臣「よし、飯食うぞ！」






臣くんは相当お腹が空いていたのか、いい匂い！と言って満面の笑みを浮かべるとそそくさとリビングへ入っていった。






なんだろ、この感じ…？



「ただいま」「おかえり」と言い合う相手がいて、その人の為に頑張ってご飯を作って、それに対してその人が笑顔で喜んでくれてる。



まぁ臣くんとはそういう関係じゃないけど、家族ってこういうものなのかな？これが幸せという感情なのかな？



まだよく分かんないや…。

108→←106

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す