終わりなき哀しみ３

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波「Aー、早くしないと遅れるよー」



『あ、ちょっと待って今行く！』






３回生になって半年が経った頃、つまり夏休みが終わって後期に差し掛かってだいぶ涼しくなってきた時期のこと。



私は携帯の電話帳から隆二と臣くんの名前を消して完全にフリーになったおかげか、前みたいに遅刻や欠席をせず真面目に講義を受けていてバイトと学業をきっちり両立している。



恋は盲目なんて言うが、本当なんだな。






波「最近どうなのよ？」



『どうって、なにが？』



波「もぅとぼけちゃってー。同じ学科の橘くんだよ、最近やけに仲良くない？」



『え、そんなことないよ(笑)』






なにを言い出すのかと思えば……。



波瑠が今ニヤニヤしながら聞いてきたのは私が最近よく話すようになった同い年の橘くんのことで、３回生になってすぐの頃私の落とした携帯を橘くんが拾ってくれたのが仲良くなったきっかけだった。



橘くんは大学内でトップクラスに入るほどのイケメンで、もちろん成績も優秀な為テスト前は毎日のように一緒に勉強するような仲なのだが、残念ながら波瑠が期待しているような関係ではない。



そんなすぐに次の恋ができるような器用な人間ではないよ、私は。






『まぁ橘くんが彼氏だったら講義をサボったりできないから、その面ではいいかもね』



波「うわ、ものすごい軽い発言」



『さっきまでニヤニヤしてたの誰よ』






どう答えたら正解だったわけ…？



教えてください波瑠さま。






『…私が次に彼氏を作るのは大学を卒業してからだよ。もし本当にあの人が卒業式の日に迎えに来てくれたらもう一度付き合う、来てくれなかったら就職先で他の相手を探すわ』



波「卒業までに好きな人ができちゃったらどうすんの？」



『この大学に通ってる限りそれはないでしょ。クソ真面目の眼鏡男子ばっかりだし』



波「Aちゃん酷いねー。いつからそんな毒舌になったわけ」



『失礼な(笑)』






もし１年半後本当に臣くんが迎えに来てくれたら、それはものすごく私のことを想ってくれてるってことなのでやり直す方向で考えてみるし、その時にきっぱり隆二のことを諦めるよ。



まぁどっちにしろ隆二のことは忘れなきゃいけないんだけど。



だからまだ好きでいていいよね？

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