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彼女は、いつもとは違うベッドの感触の違和感から、自然と目が覚めた。
『んっ、ここは…』
この状況を飲み込むには、足りない脳で、ただひたすらに脳を動かしている。
昨日のことを思い出そうとすれば、頭が割れるように痛いどういうことだろう、と彼女の中では疑問しか生まれなかった。
「起きたのか、A。」
『あなたは…誰。』
彼は少し驚いたような表情を見せたが、彼女の瞳を、鋭く見つめた。
「本当に覚えてないみたいだな。」
『えっと、覚えていないです。ここがどこだかもわかんないし。貴方が誰だかもわからない。』
彼女は今持っている感情を全て彼にぶつけた。
彼は、呆れたような表情を彼女に見せた。
「確かに名前は言って無かったな。ローレンだ。呼び方はなんでもいい。」
和装をしている男には、西洋すぎる名前を聞き、彼女は少し困惑した。
「俺は鬼蜘蛛の妖怪。お前のことを殺そうとは考えていない。が、逃げようとでもしたら、何をするかわかんねぇぞ。」
彼女は一瞬怯えた表情をうかべたが、平静を取り繕うとしているようだ。
『なぜ、あなたは私をここから出そうとしないんですか??』
「お前に俺の子をなさせる為だ。」
ただ鬼の口から発された14文字の言葉から、彼女は酷く混乱した。
ただ14文字の言葉、ただの言葉とは人間では形容出来ない、ただ彼ら妖であるからして、ただの言葉とも形容できるだろう。
だが、人間から考えれば、この言葉の内心的意味は口下手とも言えるだろう。
妖は実の事、彼女と過ごしたいだけであった。
これ以上なく過去から手に入れようと思っていた、愛しき愛しき彼女である。
彼女には、彼の気持ちの何もかもが伝わってない。ただそれだけだった。
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作者名:lei | 作成日時:2024年2月6日 23時