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#2 ページ2

「何してんだ。」


暗闇から漂う煙、威圧感。


「ゔ、ぅっ、うわぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」


あの巨漢の悲鳴が聞こえると、彼女は身体の自由を手にした。

彼女は焦っていた。

今から自分も、あの巨漢と一緒で殺されてしまうのではないのかと。緊迫感や焦燥感が、彼女の頬を伝った。


そして暗闇から煙の正体が見えた。

なんと表現すればいいのやら、それは確実に人ではなく、端正な顔立ちを持つ、蜘蛛の妖の類であった。


『あっ、あっ、ありがとう、ございます。』

「礼はいい、さっさと股間のしゃぶり方もわかんねぇ餓鬼は、家へ帰れ。」


彼女もそうしたいと思っていた。

血まみれになった巨漢を見て、腰を抜かしてしまい、思うように身体が動かないのだ。


『あの、すみま、せん…』

「なんだ、俺が殺したくなる気分になる前に、帰りな。」

『帰りたいんですけど、腰を抜かしてしまって…思うように立てなくて。』


ふっと腰が軽くなり、私の背と膝に手が回されていた。


『えっ、』


彼女は目を瞑った瞬間に、ビルの屋上まで来ていた。


「おい、お前の家はどこだ。」

『えっと、この道を真っ直ぐ行って、あのバルコニーのある屋敷です。』

「分かった。」


彼は軽々とビルとビルの間の暗闇をかけて行った。

彼女は驚きと初めての体験で、暗闇の中の壁の顔がこの世界で1番眩しくみえた。

彼女は彼の翡翠の双眼に吸い込まれ、段々と頬を染めていた。

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作者名:lei | 作成日時:2024年2月6日 23時

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