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#1 ページ1

時は大正、夜もすがら電球で照らされている町は、地方と比べれば眩しいだろう。

そんな眩しすぎる街をよく思わない者だっている。

例えば、杖を付き腰を曲げながら歩く者、抱き抱えられた子供、はたまた、現代文明を嫌う者。

その中でも、特殊な者が1人…いや、1匹と表現した方がいいだろうか。

何本あるかなんて数えたくは無い黒くカクカクとした脚のようなものを持ち。

今にでも動いてきそうなお面を腰に着け。

黒い服によく映える赤髪をなびかせ。

ヒトを見下すように、煙たい香りを煙管から吐き出している。

彼は、人ならざるものである。


人は変わってしまった、夜の恐怖も何もかも。

光が強いあまり、路地裏の影が濃く、自分たちで影を照らすことなんて、考えようともしないから。


そこに少女が1人、深い影の中へ飲まれていく。


彼女の名前はA。

貴族の生まれで、顔も悪くは無く、お金目当てで近づいて来る男ばかりであった。

そんな彼女は、すこぶる男が嫌いになった。


たかが町娘1人で、夜を出歩いてもこんな世の中じゃ当たり前と思ったのかは知らないが、彼女は1人この街を歩いていた。



「おい嬢ちゃん!俺と一緒に遊ばないかい?1人で歩いてちゃ危ないからよ、俺らと一」


急に巨漢から声をかけられた彼女は、めっぽう嫌そうな顔をした。


『ただの買い物の帰りなので、貴方達に心配されるようなことではありません。』

「そんなこと言わずにさ、俺と一晩過ごそよ?」


巨漢は彼女の両腕を掴み、彼女から自由を奪った。

きゃ、と、彼女の小さな悲鳴は、路地裏の暗闇に消えていった

と思われたが。

#2→



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作者名:lei | 作成日時:2024年2月6日 23時

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