出逢ったことがすべて 2

＿ 69 ページ24

you


.







えーと…聞き間違いかな？









〈剛典『あれ？おーい』〉



「私の聞き間違いでしょうかね」



〈剛典『え？！違うよ！！俺本気だから！！』〉



「本気でそんなこと言う人いるんだ……」



〈剛典『あ、やめて。ちょっと引かないで』〉



「そりゃあ引きますよ。そんな漫画みたいなセリフ」



〈剛典『相変わらずストレート…』〉



「あれ、傷付いちゃいました？」



〈剛典『ぜーんぜん！むしろ大好きだよ！』〉



「え……」



〈剛典『あ、こら。また引いたな』〉



「ふふ、」









どうしよう。凄い幸せ。
中身は何も無い会話なのに剛典くんと話してる時間が
どうしようもなく愛おしい。









〈剛典『…ん？………あ、そろそろ行かなきゃ』〉



「そっか、剛典くんもお仕事中か」



〈剛典『嘘でしょ忘れてたの？』〉



「電話掛けてくるくらい暇なのかと。」



〈剛典『おい！暇じゃないよ！笑』〉



「あはは、すみません笑」



〈剛典『忙しいのに急に掛けちゃってごめんね』〉



「……いえ、嬉しかったです」



〈剛典『そ、っか笑 なら良かった笑』〉



「じゃ、頑張ってくださいね」



〈剛典『ありがとう。Aちゃんもね』〉









切れる間際に聞こえてきた
低いけど、どこか甘い声が脳内に響く。









〈剛典『………………好きだよ』〉









.









「〜〜っ、なんなのっ、」






どこまで………









「どこまで私を惚れさせれば気が済むの…っ、」









思わずその場にしゃがみこんで
頭を抱えて火照った頬を覚ます。









「こんなんじゃ戻れないよ………」









.









" あれ？日野宮さん体調悪い？ "




「え、」




" 顔赤いけど…… "




「だ、大丈夫ですっ！ちょっと熱いだけなのでっ！」









結局あの後思うように集中出来ないまま定時で帰社してきた。









.









" そっちじゃないでしょ？ "





突然、この間の出来事が蘇る。
ドアの前で立ち尽くして鞄の中を漁り、一つの鍵を取り出す。






.









.









.









『今日は間違えなかったね』









.

＿ 70→←＿ 68

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す