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「剛典さん…?」
剛典『俺まだAちゃんのこと好きだよ』
私の目を真っ直ぐ見ながら話す剛典さんは
いつものふわふわした雰囲気では無い。
「いや…えっと……ま、だ……その……」
剛典『………そっか、笑』
ふにゃりと笑った剛典さんは寝るね、と言って
寝室に向かった。
その後ろ姿を見つめることしか
出来ない私は臆病者なんだろうな。
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「………き、です……」
あれ、私なんで泣いてるんだろう。
いくら拭っても止まってくれる気配がない。
" 好きって言われたらどう思う? "
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「っ、すき………好きです、剛典さん…っ、」
剛典さんの笑顔や真剣な顔
パフォーマンスしてる時の顔
私にだけ向けられる言葉の数々
頭を撫でる仕草や
頬に添えられた男らしい手と……喉仏。
" Aちゃん "
低くて芯のある声で私の名前を呼ぶ度に
私の鼓動は忙しなく動いていた。
出逢って日は浅い。
それでもいつも、いつも考えることは、
「剛典さん……っ、なんで、なんで………っ」
仕事してても、買い物してても
どんな時でも私の頭から離れない。
「好きになんか、なるはず無かったのに…っ」
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同居が始まってから言われたこと。
" 俺さ、Aちゃんといるとすげぇ安心するんだよね "
" Aちゃんって癒し効果あってさ "
" 話さなくても、隣に居てくれるだけで心地いい "
" って俺割とやばい奴?笑 "
多分………この時からだ。
あと4日で出ていくっていうのに。
もう少し、もう少し早く気づいていれば
この同居生活も何か変わっていたのかな。
「つらい、なあ………っ、笑」
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どうか寝室にいる剛典さんにバレませんように。
そう願いながら枯れるまで涙を流した。
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作者名:かの | 作成日時:2020年10月6日 21時