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「………………………は?」
『だから、俺の彼女にならない?って』
「…………ますます訳分からないんですけど。」
『何で?簡単なことじゃん。』
「はぁっ?!?!?!」
『おお、意外と声大きいんだ』
そういえばこの人昨日とは違って
ハットを被っていなければマスクもサングラスもしていない。
心做しかニコニコの笑顔を貼り付けている。
気がする。
『だってこんな顔出してるのに気付かないんだもん』
「気付かないって…」
『俺の事知らない女なら上手くいきそうじゃない?』
「………………なんですか、それ」
何それ。
「あなたが誰なのか知りませんけど、私はあなたなんかの彼女になるつもりありませんから。失礼します。」
行こうとしたけれど。
『俺の彼女になったら損しないよ?』
もう一度ドアの方に引き戻され、しまいには顔の横に腕。
「損しないって…随分余裕あるんですね。」
『もちろん。この顔面で何人の女落としてきたと思ってんの?』
いや知るか!!!!
あんたの恋愛遍歴なんて興味無いわ!!!!
「退いてください」
『やだ』
「邪魔です」
『お、言うね〜』
「ちょっと顔が良いからって調子乗らないでくれますか」
『顔が良いのは認めるんだ?』
「…っ、」
…無意識だった。
かっこいい?こんな奴が?性格くっそ最悪なのに?
確かに目鼻立ちは普通の人より整っているし、
女性かと見間違えるほどの綺麗な二重につぶらな瞳。
ケア、しっかりしてるんだろう。シワひとつない肌。
『あ、見惚れてる。』
「っ、自惚れないでください。」
『頑固だな〜』
「というかまじで邪魔なんですけど。」
『ははっ、面白いね』
「何が ── pipipipipi…………」
「…電話鳴ってますけど」
一向に出ようともしない残念なイケメン。
そろそろうるさいんですけど…
「電話!!!!!」
『あーはいはい分かった分かった』
『もしもーしオミさん?』
『はい、はい…うわっ、声でかいですって』
『え?ナオトさん?あー…それはまずいっすね、今行きます』
『んじゃ行くわ。考えといてー』
「あいつ……………っ、」
おでこに手を当てしゃがみこむ。
触れられた場所が、熱い。
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作者名:かの | 作成日時:2020年10月6日 21時