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『なんだ、隣だったんだ。
だったらこれからも花貰ったらあげるわ。
じゃ、おやすみなさーい』




「あっ、ちょ!!」









目の前でバタンと閉まる扉。
私の腕の中に大きいバラの花束。







そして ────────────







「香水………甘っ………たる」









「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜疲れた〜〜〜〜〜〜〜」






ソファーになだれ込み、先程水につけたばかりの
バラを横目にスマホを取り出す。









「…結局誰だったんだろう」








生憎うちのタワマンは1階のポストまで行かないと
隣ご近所さんの苗字は分からない仕組み。









そういえばDVDどうした?





「げっ、」







Aごめん!忘れてた!明日でもいい?









「はぁ…………」









" ふっ、あははは!! "


" 笑い堪えるのしんどかったー笑 "


" 彼女なんて居ないけど "









「って何思い出してんの私!!!」









喉仏揺らしながら笑う姿とか、


瑛くんよりも低い声とか、


私よりも10センチくらい高い背とか、


芸能人みたいな甘ったるい香水の匂いとか、……あれ?









「もしかしてあの人……………」






.









.









「ん、んー…うるさ……………わぁっ!!!!!」




8時?!大遅刻?!









「やばっ、昨日あんな人と会うから…!!!」





鍵を締めながらぶつぶつ文句を言っていると
後方から嗅いだことのある匂い。









『あんな人って俺のこと?』



「わあっ?!」



『もしかして遅刻?』



「いや、あなたには関係無いですから!!!
てかそこ!避けてくれませんか?!」







私の目の前に立ち塞がる男。








『あー、ごめんごめん』








とか言いながらも足は確実にこちらに向かっている。
それにつられて私も後退りすれば背中にドアの冷たさ。








男は私の顔を覗き込み、こう言い放った。







.









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『君さ、俺の彼女にならない?』









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作者名:かの | 作成日時:2020年10月6日 21時

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