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「…っ、無理です、」



剛典『え、なんで』







なんで、なんて私がいちばん知りたいよ。
名前呼ぶだけ。たった4文字。
" たかのり " と言うだけなのに胸がキュッてなる。









剛典『Aちゃん、こっち来て』





隣をぽんと叩いて座るよう促す。
渋々ながら近付けば " 警戒しないで笑 " って。








剛典『じゃあ俺の後に続いてね、はい " た "』


「…た」


剛典『 " か " 』


「か…」


剛典『 " の " 』


「の」


剛典『 " り " 』



「……………り、」



剛典『そうそう、繋げて?』







これって思い切りが大事だったりする…?















「………た、かのり………………さんっ、」



剛典『………っ、なあに?』









…………ずるい。
そっちから呼ばせたくせに。
そんな言い方ずるいですよ、









剛典『じゃあこれで一歩前進、かな。

よかった、Aちゃんとの距離が縮まった感じ』









微笑みながらそう言われて思わず顔に熱が集まる。
悟られないように咄嗟に逸らしながら布団の中に潜る。









剛典『え?急にどうしたの笑』



「…………眠いです、」



剛典『……ふは、かわいいか。笑』



「かわっ、?!」









" かわいい " 、その言葉に年甲斐もなく反応してしまう。








剛典『Aちゃんって意外と顔に出るよね』


「っ何がですか、」


剛典『そういうところ』









岩田さんもとい、剛典さんからの " 好き " や " かわいい " に
いちいち反応してしまうのは彼だからなのか。



それともただ単に免疫が無いだけなのか。









剛典『おやすみ』




「っ、おやすみなさい、」









.









静まったことを確認してから背中を向けていた剛典さんの方を見る。



彼も私に背中を向けて寝ている。









男らしい大きな背中を見ていたら

何故だか寂しくなって ────────── 。









(「これくらいなら…大丈夫だよね。」)









あんなに警戒していたのに。
言葉と行動が一致しない自分に思わず苦笑い。









.









剛典さんの背中を見ながら眠りについた。









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作者名:かの | 作成日時:2020年10月6日 21時

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