桜散る季節【佐久間大介】 (ページ5)

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立ちくらみしないように気をつけながら立ち上がって、彼の近くに行く。

「おかゆ、ありがとうございます。頂きますね。……お名前、聞いてもいいですか。」

手に持っていたスプーンを受け取って、近くからそっと見上げる。

「あ、オレ……佐久間です。佐久間大介。」

「佐久間さん。えっと。私、AAです。」

改めて名乗り、頭を下げた。

「A…綺麗な名前。」

独り言のように呟いた佐久間さんに、思わず小さく笑みが零れる。

「よくある名前ですよ、本当に。」

「いえ！めっちゃAさんに似合ってると思います。なんか、雰囲気とか、響きとか……素敵です。」

「褒められることなんてないから、照れるなあ。」

真剣に、じっと私の目を見つめて真っ直ぐ言葉を伝えてくれる佐久間さんに、一歩後ずさって俯き頭を搔く。

長いこと、人と向き合うこともしていなかったのに。

褒められた脳はバグを起こしたのか、心臓は早鐘を打って耳が熱くなった。