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__ゆっくりと意識が浮上する。
水面に浮かぶように、ゆらゆらふわふわと意識が定まらない中、近くで聞こえた大きな物音に無理矢理覚醒した。
「うわー!すみません起こしました?てか勝手に入ってすみません!目の前で倒れてビックリして思わず!食べやすいかなって勝手にお粥にしました、お姉さんいつもお米と野菜しか頼まないから。あと軽く片付けちゃったんですけど大丈夫ですかね?あ今スプーン持ってきます!!」
ばたばた、ばたばた。
嵐のように早口で告げた彼は、そのままキッチンへ消えていってすぐに戻ってきた。
リビングのソファに寝かせてくれていたらしい。
「あの、…下手したら、通報されますよ、」
別に、私はしないけれど。
目の前で倒れたからといって、救急車を呼ぶではなく自ら看病をする宅配のお兄さんなんて、どこにいるのだろうか。
しかも、いい歳をした女の部屋に上がって。
「あ……すみません、助けなきゃって気持ちで先走っちゃって……。」
慌ただしく動いていた彼が、突然しゅんと大人しくなる。
客観的に見つめ直して、己の行いを確認したらしい。
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作成日時:2024年3月28日 12時