無意識の関係 ページ30
沖田side
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「こんなお昼の時間まで屯所に残ってるなんて、珍しいですね。何かあったんですか?」
「何って、別に、書類仕事」
「へえ…って、ええ!沖田隊長が書類仕事!?ちょっと待ってくださいまだ僕死にたくないですたまさんと両想いになってから地球を滅ぼしてくださいお願いしm」
全部聞き終わる前に、山崎の頭をすぱんとはたく。何長々と言ってるんだよ。俺が仕事したら地球滅びるのかよ。全く、どいつもこいつも、この真選組で一番仕事熱心な沖田総悟に失礼である。なんて胸中でうそぶいた。
「滅びねえし、例え地球滅亡間近でもお前の思いは叶わねェよ」
「なっ、そこまで否定しないでくださいよ。まだ可能性があるかもしれないでしょう!」
鼻で笑えば、山崎は「年下の沖田隊長だって結婚してるし、きっと僕も」と闘志を燃やし始めた。いや、近藤さん並みに無理だと思う。
「はぁ、まったく。…そういや沖田隊長、最近音楽にでもハマってるんですか?よく聞いてますよね」
山崎は俺の耳からぶらさがったイヤホンを指さす。Aさんから貰った、黒いイヤホンを。
「いや、聞いてんのは落語でィ」
「え、落語?渋い…」
眉根をよせる山崎を置いて屯所の廊下を歩き出す。スマートフォンの音量を上げた。このイヤホン、菊一文字にも対応してるのだろうか。今度試してみよう、と思ったところで、あれ、と気づく。
最近、落語を聞く頻度が上がっていると山崎は言った。
つまり、このイヤホンをよく使っているということだ。
…全然自覚がなかった。以前と同じように使っていると思っていた。
イヤホンを使って落語を聞くことが増えている、ということの原因として考えられるのは、やっぱりAさんだろう。
Aさんのくれたイヤホンを、無意識にたくさん使っている。
…なんだろう、自分の無意識の範疇がとんでもない気がしてきた。
自分が無意識下で何を考えているのか、全くわからない。
ここまで自身のしたいことと行動が掴めないのは、生まれて初めてだ。
どうなってんだ、今の俺。
自分を理解できない自分に呆れながら屯所を出て、適当にぶらぶらと街を歩く。
とにかく、Aさんと、距離を置く。
というか、俺が、余計なことをしないようにする。
自分の無意識の発言や行動、感情についてはとりあえず保留。理解できる気がしない。
「こんにちはー、今日もお疲れ様です」
突然横からかけられた声に、顔を動かす。
いたのは、にこにこ笑っている甘味処の女店員。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時