困った関係 ページ13
Aside
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「な、なるほど。明らかに恋に思えますけど、Aさんの中では恋なのか分からないんですね?」
『はい、そうなんです…』
そう答え、白玉ぜんざいを口に運ぶ。やっぱりおいしい。
「確かに難しいかも。分かってなかったことの理解なんて急にできないですよねー」
立花さんも眉根を寄せて、うーんと唸った。
「その男の人に特別な感情を持ち始めたのって、いつですか?」
『その人の誕生日…いや、これまたとある事情で二人で出かけたことがありまして。その時、かもしれないです』
確実に意識したのは沖田さんの誕生日だけど、少し変だなと感じたのは作戦の時だったはずだ。
「なら、もう一度お出かけに誘ってみるとかはどうでしょう?その時と同じ状況になれば、何かしっくりくるかも」
立花さんは両手を合わせ、うんうんと頷いている。
人前でイチャイチャする状況なんてなかなかないと思うけど、お出かけ自体は、したい。
___正真正銘の、デートを。
「あ、土曜日に夏祭りあるじゃないですか!せっかくだし、その人を誘ってみれば…」
私は『仕事が被ってしまっているらしくて』と首を振る。立花さんは残念そうに呟く。
「気になる人にデートのお誘いは結構レベル高いですしね…」
そうなのだ。ホンモノのデートに誘うことがこんなに難しいとは。結婚前の私は全然想像もしていなかっただろう。
『…立花さん、彼氏さんとかいらっしゃるんですか?』
いつの間にか私より真剣に悩んでいる立花さんに尋ねた。
時々、立花さんが他の人の相談にも乗っているところを見る。恋愛相談も含めてだ。それは、立花さんのアドバイスが上手いからだろうし、親身だからだろう。他人のお悩みにここまで真剣に付き合ってくれる人はなかなかいない。
もしかしたら、豊富な経験でもあるのかと思ったのだ。
「いえ、いませんよ」
意外にもあっさりと首を振られた。昔いろいろありましたけどね、と立花さんは笑う。いろいろって…なんだかミステリアスだ。
「じゃあ、恋愛漫画とか読んでみたらいかがでしょう?星の数ほどありますし、自分の気持ちとマッチするものがあるかもしれませんよ」
恋愛漫画か。そういえば読んだことない。
その時、すみませーんと人を呼ぶ声が店内に響いた。気付けばそれなりに人が増えている。
「あ、そろそろ戻りますね」
立花さんは椅子から立ち上がる。
本屋さんに寄ってみよう、と決意しつつ。
お礼を告げて、私も甘味処を出ていくことにした。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時